共働き家庭の強い味方「病児・病後児保育」を知っているでしょうか?
 

病気の治療中や回復期にある子どもを預かる仕事ですが、病児・病後児保育室で働いているのは医療・看護スタッフだけではありません。
 

専門性の高い仕事と敬遠されがちな一方で、保育園で働くよりも体力的な負担が少ないなど多数のメリットがあることから保育士にも人気の高い職場です。
 

共働き家庭の増加から今後も充分に需要が見込まれる病児・病後児保育について、保育士ならば詳しく知っておいて損はありませんよ。
 

今回は病児・病後児保育に興味があるという人のために、
 

  • 病児/病後児保育の現場で働く魅力を事業の概要
  • 働くために必要な資格
  • 待遇面のメリット
  •  

    などなど保育士目線でわかりやすくお話していきます。
     

    1.病児・病後児保育の概要~あると有利になる資格とは

     

    共働きで子どもを保育園や幼稚園に預けている家庭にとって、子どもの病気は大敵です。
     

    中には「ちょっと熱や下痢症状があるけれど元気ですし、どうにか預かってください……」と保護者に頼み込まれた経験のある保育士さんもいるかもしれません。
     

    保育園では感染予防や子どもの安全といった観点から、感染症などで体調の優れない子どもは残念ながら預かってはいけないことになっています。(37.5℃以上の発熱はアウトです。)
     

    私にも子どもがいるので「もっと付き添っていてあげたいけれど、これ以上仕事は休めない」と葛藤することも何度もありました。
     

    同じような思いをしている保護者の気持ちは痛いほどわかりますし、子どもが完治するまで遠慮なく仕事を休める社会になると一番いいですが、なかなか難しいのが現状ですよね。
     

    こんなときに病気の子どもを安心して預けることができる病児・病後児保育は、共働き家庭にはとても心強い存在です。
     

    ①自宅に訪問する形も!病児保育事業は4つに分類される

     

    厚生労働省の資料を調べみたところ、病児保育事業は以下のように分けられていました。
     

    対象児 保育を行う場所 人員配置
    病児対応型 病気の回復期には至らないが病状が安定している子ども 病院・診療所に併設され急変時等にも対応できるような体制を取っていることが多い 看護師等を子ども10人につき1人以上、保育士を子ども3人につき1人以上配置
    病後児対応型 病気の回復期ではあるが集団保育が困難な子ども 保育所などに併設されていることが多い 同上
    体調不良児対応型 保育中に微熱を出すなど「体調不良」となった子ども 子どもが通う保育園の医務室や余裕スペース等を利用 看護師等を1以上配置し、看護師等1名に対して子どもは2名まで配置
    非施設型(訪問型 病児と病後児どちらにも対応 子どもの自宅に訪問する 一定の研修を修了した看護師等、保育士、家庭的保育者いずれか1名に対して子ども1名程度配置

     

    病児・病後児保育を行う場としては、病院や診療所に併設されている保育室が最初に浮かぶ人も多いと思います。
     

    間違いではないでものの施設併設型の病児・病後児保育室は子どもの病状によって異なり、
     

    • 病気の症状が重い場合:急変にもすぐに対応できる病院・診療所併設型
    • 回復期で症状が軽い場合:保育園併設型
    • 保育園で過ごしている最中に体調不良を起こした場合:保育園内の余裕スペースでの保育

     

    というように、利用者と保育者が安心できる配慮がきちんと取られているのがポイントです。
     

    実施主体が市町村であるため自治体によっては病児も病後児も全て病院・診療所併設型に統一されている場合もありますし、実際に私の住む自治体では保育園併設型の施設はありません。
     

    保護者目線で考えてみると、いくら回復期だったとしてもやはり容体が急変した場合にすぐ医者に診てもらえる環境のほうが安心して子どもを預けられます。
     

    保育士として働く場合にも、万が一の事態に即対応できる「病院・診療所併設型」を選んでみてはどうでしょうか?

    ・非施設型(訪問型)は病児も病後児も対応

     

    ただでさえ責任が重いのに、「病状の重い子どもを預かることになったらこわいな……」と感じる人もいると思います。
     

    実は病児・病後児保育で預かる子どもは事前にかかりつけ医を受診しており、保育の許可を得ていることから、明らかにぐったりしている重症児を預かることはまずありません
     

    万が一の緊急時にも指導医や協力医療機関と連携が取れるよう、あらかじめ文書で取り決めがなされているので安心ですし、1対1でよりきめ細やかな保育をしたい人には、病状の変化に気づきやすい非施設型(訪問型)がぴったりです。
     

    これから病児・病後児保育の求人を探す人は、これらの違いをきちんと理解して自分に合った職場を選んで申し込んでみてくださいね。
     

    ②保育士資格が無くても病児・病後児保育を行うことはできる

     

    「保育士資格持っていないけど、依頼があれば病気の子どもを自宅で預かることもあるよ」
     

    と言う人が私の友人にいてびっくりしたことがあります。
     

    何も資格がなくても大丈夫なのかと意外に感じる方もいると思いますが、病児・病後児保育を行う上で特別に必要な資格はありません。
     

    友人のように無資格者でもきちんとした研修を受けて自治体に認められていれば、病児保育を行うことは可能です。
     

    しかしながら施設型の病児・病後児保育室では子ども3人につき1人以上の保育士の配置が必須であるため、保育士資格が雇用条件になっている場合ほとんどで、
     

    「保育士資格が無いと研修が長期間になって大変だし、資格があると保護者も安心するからあったほうが絶対に良い!」と友人も言っていました。
     

    保育士資格があれば自信を持って子どもと接することができるので、病児・病後児保育に携わるためも保育士資格は取得しておいて絶対に損はありませんよ。

    ・非施設型(訪問型)は研修を受けることが必須

     

    病児・病後児の自宅を訪れて保育をする場合には、病児・病後児保育(訪問型)研修事業実施要綱に定められた研修を受けなければなりません。(平成32年までは別の研修に振り返る経過措置あり。)
     

    講義24.5時間+実践演習1日~2日以上(19科目)と盛りだくさんの内容で「仕事に就くまでのハードルが高過ぎる……」と思わずぼやいてしまいそうですが、科目の例を挙げてみると、
     

  • 病児・病後児の発達・心理を理解したうえでの遊び
  • 病児・病後児保育を利用する子どもの主な症状と対応
  • 薬に関する知識
  • リスクマネジメント
  • 心肺蘇生法
  • 病児・病後児保育における感染症対策
  • 子どもが病気の時の保護者支援
  •  

    など病児・病後児保育をする上で欠かせないものばかりです。
     

    子どもと1対1で過ごす非施設型(訪問型)は保育者の判断が直接子どもの命に関わることになります。
     

    資格がないことに不安を感じている方も、研修を受けることで保育者自身の安心や自信にも繋がるのではないでしょうか?
     

    ③取っておくと有利?病児保育に関わる資格

     

    病児保育は未経験で知識がないから不安という人でも大丈夫な資格を調べたところ、病児保育について専門的に学べる民間の認定資格が3つほど見つかりました。
     

    資格概要をみると、
     

    認定病児保育

    スペシャリスト

    ・日本病児保育協会が認定

    ・入院するほどではない、突発的な体調不良時に、親に代わって適切なケアと保育行う「病児保育」に関する資格

    認定病児保育専門士 ・全国病児保育協議会が認定

    ・病児保育の専門性を高め、さらに家庭での看護方法などの研鑽を積み、家庭での「家庭看護」へつなぐことにより、病児保育を通して究極の子育て支援を行うことのできる保育士・看護師を育成する資格

    医療保育専門士 ・日本医療保育学会が認定

    ・入院している子供の遊びや生活を支援する保育に関する資格

     

    上記のようになりますが、私が最もおすすめするのは認定病児保育スペシャリストです。
     

    認定病児保育専門士と医療保育専門士は受験資格に団体の加盟や実務経験が必要であり、既にある程度病児保育に携わっている人が対象になっているものの、
     

    スペシャリストは高卒の18歳以上であれば誰でも挑戦できるので、少しでも興味があれば取得を目指してみるのもいいかもしれません。
     

    「資格が取りやすいのはありがたいけれど、現場に出て役立たなかったら意味が無いな……」と思われるかもしれませんが認定までの流れは、
     

  • 全13回のweb講座受講
  • 1次試験の合格(web受験)
  • 病児保育施設での実習(24時間以上)
  • 認定試験の合格(口頭試問などの対面)
  •  

    と充実の内容になっており、認定後も年に1度更新制度があって認定者同士交流ができたりセミナーを受講できたりと、実践的な知識を積み重ねていく仕組みがきちんと整っています。
     

    資格を取ると現場で自信を持って保育ができるようになるのはもちろん履歴書にも書けるため、これから病児保育施設へ転職を考える人は採用担当者への強いアピールポイントにもなりますよ。
     

    2.病児・病後児保育室での勤務はメリットがいっぱい

     

    保育園で働く保育士の仕事と比較してみると、病児・病後児の保育には以下のようにたくさんのメリットがあります。
     

  • 少人数保育のため1人1人としっかり向き合える
  • 子どもの入れ替わりが多く環境の変化に富む
  • 室内遊びがメインのゆったりとした保育ができる
  • 土日・祝日休みの場合が多く残業も少ない
  • 保育計画などの事務作業が少なく負担が軽い
  • イベントや行事がほとんど無い
  • 保育士としての視野・経験が広がりスキルアップにつながる
  • 社会に役立つ充実感が得られる
  •  

    病児・病後児保育室では保育をする子どもが日々入れ替わるのが特徴です。
     

    病児・病後児保育室では保育をする子どもが日々入れ替わるのが特徴ですし、施設併設型では定員が4~10名までとなっている場合が多く、子どもの病状に合わせて室内でゆったりと過ごすので、保育園での勤務と比べると体力的な負担はほぼありません。
     

    書類は残業のもとになりますが、数々のメリットを見てわかるとおり、事務作業は少ないことから病児・病後児保育室が保育士の転職先として人気があるのも頷けます。
     

    ①病児保育室の一日の流れ

     

    一般的な病児保育室の1日を見てみると……
     

    病児・病後児保育室1日の流れ
    8:00 保護者からの申し送り

    検温・視診

    医師の診察

    室内遊び

    9:30 おむつ交換、排泄・手洗い

    水分補給・おやつ

    室内遊び

    11:00 片付け

    おむつ交換、排泄・手洗い

    検温

    11:30 昼食準備

    昼食

    12:00 与薬

    おむつ交換、排泄・手洗い

    お昼寝

    14:30 目覚め

    おむつ交換、排泄・手洗い

    15:00 検温

    水分補給・おやつ

    室内遊び

    医師の診察

    17:30 保護者への申し送り

     

    このように普通の保育園での生活とほぼ変わらないデイリープログラムが組まれていることが多いです。
     

    病院・診療所併設型では時間外保育を行わない施設がほとんどで、昼食はお弁当を持参してもらい対応しているケースが一般的であるものの、保育園とは異なり毎日預かる子どもが変わることから、朝出勤してすぐにその日預かる子どもについてきちんと把握しなければなりません。
     

    私も1度だけ病児保育室を利用したことがありますが、医師の診察だけではなく保育室でも「○○ちゃんはどんな遊びが好きですか?」「お薬はいつもどのように飲んでいますか?」など職員の方に様々なことを聞かれました。
     

    病児保育室は初対面の子どもや保護者と接する機会も頻繁にあるため、その時々で必要な情報を収集して職員間で共有する高度なコミュニケーション能力が求められる職場だと思っていてください。

    ・室内遊びを極めておこう

     

    病児・病後児保育では基本的に外遊びがありません。
     

    平成27年に発行された「病児・病後児保育における保育士・看護師等のためのハンドブック」を見ると、安静度と月齢に応じた様々な室内遊びの例が記載されています。
     

    絵本や紙芝居、粘土遊び、わらべうたなど遊びの引き出しが多いほど保育が充実するので、現場ですぐに生かせるようにするためにも、転職を考えている方は色々な室内遊びを学んでみてはどうでしょうか?
     

    実際の現場でも様々な工夫がなされており、「プリンセスやヒーローのコスチュームを用意しておいて自由にごっこ遊びを楽しみ、最後はお土産に写真を撮って持たせる」などユニークなものもありました。
     

    安静を保ちつつ、子どもを引き付けて喜ばせる遊びの考案は保育士として腕の見せ所になりそうですね。
     

    ②待遇は認可保育園とほぼ変わらない

     

    厚生労働省資料「病児保育事業について」をみると病児保育に携わる保育士の月額給与の平均値は20.4万円(勤続年数4.9年)であり、認可保育園とほぼ変わらないことがわかります。
     

    経営母体によって待遇の差は出ますが転職サイトに出ている求人を分析したところ、医療法人の病児保育室は給与水準が高く賞与や福利厚生が充実している傾向がありました。
     

    仕事内容にもメリットがいっぱいで待遇も良いとなると、転職を考えている保育士は見逃せません。
     

    少しでも病児保育に興味を持った人は病児・病後児保育室を選択肢に入れるのも一つの手です。
     

    病児・病後児保育室は保育士に人気の職場!求人を見逃さないようにしよう

     

    今回は共働き家庭を支える病児・病後児保育についてお話してきました。
     

    仕事を休めない保護者を支え、病気で不安な子どもの気持ちに寄り添う病児・病後児保育はやりがい充実度も申し分ありません。
     

    体力的な負担や残業が少なく、ワークライフバランスがとりやすい面からも人気が高いですし、保育士資格を持っていない人でも充分働けますよ。
     

    求人の数は保育園に比べて見つかりにくいうえ、条件の良いものほどあっという間に枠が埋まってしまうことから、良い求人を見逃さないためにも転職サイトに登録しておくことがおすすめです。
     

    病気の子どもを預かる緊張感や責任の重さはありますが、保育士としてのキャリアを深めるチャンスと考えてぜひ積極的に挑戦してみてください。