待機児童の解消に一役買っている「保育ママ」について、ニュースなどで1度は耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか?
 

自宅で開業して活躍する保育ママは、保育士として充分な経験を積んでいながらも、妊娠・出産・育児などで離職した人にとって注目度の高い仕事です。
 

少人数で家庭的な保育が実現できる保育ママは利用者にとってもメリットが大きく、非常に頼りがいのある存在と言っても過言ではありません。
 

今までの保育経験を最大限に生かせる仕事に挑戦してみたい人にとっては天職になるかもしれませんよ。
 

今回は保育ママ開業の条件や仕事内容や収入などの待遇面について紹介した後、保育ママとして働く上でのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
 

1.保育ママとはなにか

 

保育ママは正式には「家庭福祉員」と呼ばれ、仕事などで保育ができない保護者に代わり3歳未満の子どもを自宅等で預かって保育をします。
 

自治体がごとの呼び方を調べてみたところ、
 

  • 東京都:家庭的保育事業(保育ママ事業)
  • 横浜:家庭保育福祉員
  • 仙台:家庭保育福祉事業
  • 京都:昼間里親

  •  

    地域によってこれだけのバラつき具合がありました。
     

    保育ママの募集は各自治体によって行われるものの、個人事業主として働くことから雇われるわけではありません。
     

    「個人事業主は魅力的だけど、いきなり開業してうまくいくものなのかな……」と感じる人もいると思いますが、開業すると自治体が宣伝をしてくれたり補助金をもらえたりするので、開業へのハードルは比較的に低い仕事です。
     

    自治体によっては保育ママのないところもあるため、興味を持った人はまず自分の居住する自治体に保育ママ制度があるかどうかを確認してみてくださいね。
     

    ①保育ママになるための条件

     

    保育ママになるにはいくつかの条件があり、自治体によって差はあるものの、
     

  • 心身ともに健康な25歳~60歳くらいまでの人
  • 保育士/看護師資格/幼稚園教諭免許があるまたは子育て経験のある人
  • 同居親族に就学前の児童、看護や介護の必要な人がいないこと
  • 他に職業を持たず保育に専念できること
  • 6畳以上の保育専用の部屋が確保できること
  • ペットを飼っていないこと
  • 煙草を吸わないこと

  •  

    などが一般的です。
     

    資格要件は自治体によって異なりますが、「乳児の子育て経験や保育所等の施設で3年以上働いた経験があれば、研修を受け認定された場合に無資格でも可」となっています。
     

    保育士じゃなくてもなれることに驚かれた人もいるかもしれませんが、現実的に考えてみると何らかの資格がなければ集客が困難なのは言うまでもありません
     

    預かる子どもの年齢が3歳未満ということもあり、保育士資格を持っていることが最も有利に働くのは間違いないですし、私も自分の子どもを保育ママに預けるなら、やはり保育士資格を持っている経験豊富な人に預けたいです。
     

    他にも開業するうえで役に立つ資格として「チャイルドマインダー」というものがあり、少人数保育で必要となる総合的な知識を得ることができるため、保育ママを目指す方は取得を検討してみてはどうでしょうか?

    ・家族の理解が必須

     

    資格があって保育経験が豊富・やる気充分だったとしても、自宅に専用の保育スペースを確保できなければ開業は難しくなります。
     

    先ほど挙げた条件のほとんどが家族の理解に関わるものばかりですから、開業する際は家族との話し合いが欠かせません。
     

    お昼ごはんやおやつの準備のためにキッチンも仕事場として使いますし、場合によっては園庭として庭を開放するケースも考えられます。
     

    「自宅で保育ママとして開業したいのだけれど、どう思う?」と同居家族一人ひとりに意見を聞き、同意を得ておくことでスムーズな開業につながりますよ。
     

    ②保育所とほとんど変わらない!保育ママの一日

     

    一般的に保育ママの一日は以下のようになっています。
     

    保育ママ1日の保育の流れ
    8:30 ・順次登園

    ・健康チェック

    ・室内遊び

    9:10 ・おむつ替え

    ・おやつ

    ・朝の会(絵本読み聞かせなど)

    9:30 ・外遊び

    ・周辺の散歩

    11:00 ・おむつ替え

    ・お昼ご飯

    ・室内遊び

    12:00 ・午睡
    14:30 ・おむつ替え

    ・室内遊び

    15:15 ・おやつ

    ・室内または外遊び

    17:00~ ・健康チェック

    ・順次降園

     

    これを見てもわかるとおり、保育ママの一日は保育園で過ごす流れとさほど変わらないと考えておいてください。
     

    中には「食事の準備をしている間とか、子どもをきちんと見ていられないときはどうするの?」と疑問を持った人もいると思います。
     

    実際の現場では、開園から午睡の時間までは保育補助者を置いて対応する場合が多いので、自分と相性の良い保育補助者を見つけておくことも、仕事のしやすさを左右する重要なポイントです。
     

    桃の節句や誕生会・クリスマスなどの年間行事も全て保育ママが計画するため、開業はじめの1年は特に試行錯誤が続きそうですが、これまでの保育士経験が存分に発揮され、充実した毎日になることは間違いありません。
     

    ・保育時間の設定は短い

     

    保育園の標準保育時間は11時間である一方、家庭的保育事業ガイドラインによると保育ママの保育時間は原則8時間です。
     

    保育ママは個人事業主のため8時間を超える時間外保育の受け入れは強制ではありません。
     

    「保育園はシフト幅が広すぎて、子育てしながらだと働き辛い……」と感じる保育士でも、通勤する時間が要らず保育時間の短い保育ママなら問題なく働けますね。
     

    ③意外と高収入?保育ママの待遇

     

    保育ママがひとりで1度に預かることのできる子どもの人数は最大で3人となっています。
     

    これはあくまでも一人で預かる場合で、実際は保育補助者をつけると5人まで預かることができることから、預かる人数によっても収入には変動がありますが、3人の子どもを預かった場合の月収は30万円前後です。
     

    収入内訳は、
     

  • 保育料…平均20,000円~30,000円/月程度(保護者より徴収)
  • 時間外保育料…1時間あたり500円~800円
  • 自治体からの保育補助金…平均70,000円~90,000円/月程度
  • ※食事代や教材費、紙おむつなどは実費で保護者より徴収
    ※自治体によっては施設維持費などもあり

     

    計算するとこのようになりました。
     

    保育時間が短いのに月額30万円も稼げるなら、ちょっと良いかもと思った人も多いのではないでしょうか?
     

    自治体によって補助金のでる範囲や金額が異なるので、あらかじめきちんとチェックして開業後の見通しを立てておくと安心ですし、土日祝日・夏季・年末年始にきちんと休みが取れるため待遇面も申し分ありません。
     

    2.保育ママとして働く3つのメリット

     

    収入などの待遇面以外にも保育ママにはメリットがいっぱいあります。
     

    私の自治体には残念ながら家庭福祉員の制度はないのですが、実際に保育ママとして働く人たちの話に触れてみると、私の自治体で導入されたら真っ先に開業してみたいという気持ちになりました。
     

    保育園で充分に経験を積んだ保育士の新たなステージとして、保育ママは次の3つの点からも魅力的な仕事です。
     

    ①少人数できめ細やかな保育ができる

     

    保育園では一人ひとりの子どもに深く関わることができませんが、保育ママになると少人数で目の行き届いた保育が可能になります。
     

    実際に開業して一年目の保育ママにはこのような声もありました。
     

    少人数制なので子ども一人一人の発達や性格を考慮し、もう一つの自宅のような環境でその時の気分や体調に応じた保育がきめ細かくできます。昨日までできなかった事ができるようになった時は保護者と共に喜びを分かち合うだけでなく、感謝もしていただてやりがいを感じます。

     

    大規模な保育園で働いていると個別に接する機会が減ってしまうので、気を抜くとお散歩の準備やおむつ替えも流れ作業みたいになってしまい、慌ただしさの中でただ時間が過ぎ去ってしまったと感じることも多いかもしれません。
     

    私もお迎えの時間になってから「あれ、○○ちゃんは今日1日どんなふうに過ごしていたっけな……」と思い出せないことがあります(担当の子ども以外の園児全員を把握するのは難しいですよね)。
     

    たくさんの子供たちの相手をするよりも、一人ひとりの子どもとしっかり向き合い、その子だけに合わせたきめ細やかな保育がしたいという人には保育ママがぴったりの仕事です。

    ②充実した研修が受けられる

     

    私が最大のメリットとして注目したのは、開業前にも開業後にも充実した研修が完備されていることです。
     

    家庭的保育事業ガイドラインに記載される研修は主に5つあり、例えば家庭的保育者の就業前研修(基礎研修)は21時間〈講義と演習〉+2日以上〈実習〉受けなければいけません。
     

    実際に研修を受けた保育ママからは「研修のおかげで不安が吹き飛び、自信を持って保育に臨めました!」という意見もありました。
     

    保育ママ認定の際に必要となる認定研修や、就業後も年に1度必ず受ける現任研修などもあり、保育ママ同士の繋がりが密になる仕組みが充分に整っているのがよくわかります。
     

    こうした研修を自治体主体できちんとしてくれるのは、一人でなんでもこなしていかなければならない保育ママにとって本当にありがたいことですよね。
     

    研修の内容も保育の現場ですぐに使える実践的なものが多く、保育士として私も受けたいものばかりでした。
     

    充実した内容の研修が受けられることも保育ママになる魅力のひとつです。
     

    ③地域社会との繋がりが密になる

     

    保育ママとして活動していくには、地域社会との繋がりが欠かせません。
     

    特に自宅周辺の施設や公園を利用してお散歩をする場合には、周囲の人の理解が必要不可欠です。
     

    保育ママ自ら率先して挨拶することはもちろん、児童館など公共の施設に子どもを遊ばせる許可を得ておくなどの根回しも大事な仕事になります。
     

    長年保育ママをしていると地域の人々に顔を覚えられるため、
     

    外出時にはプライベートでも気が抜けないと感じる場面もありますが、「孫が使わなくなったおもちゃ、寄付しようか?」など、開業後しばらくして周囲から気にかけてもらえるようになり、嬉しかったという声もありました。
     

    保育ママの定年は65歳(延長可能な場合もあり)ですが、定年後も地域の保育ママ同士で集まったり、卒園生や保護者との付き合いがあったりと、たくさんの人に慕われる豊かな老後が待っていますよ。
     

    長い目で見ても、地域社会に根差した保育ができることは大きなメリットです。
     

    3.保育ママのここが大変!3つのデメリット

     

    保育ママを開業するにあたっては、個人事業主として経営する上での知識も必要になります。
     

    国民健康保険・国民年金・その他賠償保険への加入をはじめ、確定申告などの税務署への届出もあるため日頃から会計管理や帳簿等にも気が抜けません。
     

    「日々の保育だけじゃなくて、そんなところにも気を配らなきゃならないなんて……」と、気後れしてしまう気持ちはよくわかります。
     

    私も確定申告をしたことがありますが途中で投げ出したくなるくらいに最初は苦戦しました。
     

    みなさんが実際に個人で開業するときの参考になるよう、代表的な3つのデメリットを次に紹介していきます。
     

    ①収入が安定しない

     

    先ほどは「意外と高収入」と紹介した保育ママの収入ですが、あくまでも常時3人の子どもが在籍した場合の収入ですので、実際の収入には変動があります。
     

    保育ママを利用するきっかけとして1番多いのは認可保育園に落ちてしまったからというケースです。
     

    その場合は保育園に空きが出た時点で退園していくので、保育ママの収入はその月から一気に減ってしまうことになりかねません。
     

    先ほど紹介した収入内訳で計算すると、単純計算で90,000~120,000円もの減収になってしまいます。
     

    子どもが安定して在籍している見込んでいた人は泡を食うことにならないためにも、保育園と違って収入は必ずしも安定しないと理解した上で無理のない開業計画を立ててみてはどうでしょうか?
     

    ②責任が重い

     

    開業して保育をする上で最もネックになるのは、責任の重さです。
     

    実際に働く保育ママからはこのような声が……
     

    保育中は責任重大で常に緊張していますし、子育ての相談時は自身の経験だけで答えてはいけないし、保護者への伝え方にも一定のルールがあるはずなので、コミュニケーション能力と専門的知識・技術を日々向上する努力が必要だと感じています。

     

    保育中の事故防止はもちろん、保護者対応なども全て自己責任で行わなければならない保育ママはとても大変です。
     

    保育園ならば責任を分担できたことも全て1人で背負わなければならず、プレッシャーの大きさは計り知れません
     

    私が保育ママを開業することになったら、きっと胃に穴が開くほど毎日緊張してしまうだろうなと思います。
     

    確かな知識に裏付けられた保育をするためにも、日々学んでいく努力や精神的なタフさが何よりも求められる仕事だと思っていてください。
     

    ③休みが取りづらい

     

    個人事業主にはありがちな話になりますが、自宅での開業は物理的・精神的に休みが取りづらい面があります。
     

    基本的に代わりがいないので体調管理を万全にしなければならないのはもちろんのこと、次ような意見もありました。
     

    保育士でありながら看護師・事務・用務……と全ての仕事をこなしていくわけですから、やるべき事・やった方がいい事・やりたい事がいっぱ~い!!そして自宅での仕事になるので、仕事と自分の時間の境が難しく、子どもが帰った後はもちろんお休みの日も何かしら仕事をしていたかも……

     

    自宅が職場になると例え休日でも仕事場が目に入るため、どうしても仕事のことを考えてしまいかねません。
     

    いくら土日祝がコンスタントに休みでも、休んだ心地がしない休日はつらいですが、デメリットに勝るやりがいと喜びを日々感じられる仕事であることも事実です。
     

    保育ママになりたい人はぜひこれまで紹介してきた様々なメリット・デメメリットを考慮して開業を検討してみてくださいね。
     

    保育士としての経験がすべて生かされる!保育ママは保育士人生の集大成

     

    保育ママは保育の責任を1人で背負う大変さがある一方で、自身の子育てや保育士としての経験がすべて生かされるやりがいの大きい仕事です。
     

    自宅での開業にあたっては何よりも同居家族の理解や協力が必要なため、まずは話し合いの機会を持つことが重要と言っても過言ではありません
     

    開業するには様々な困難もありますが、自治体からの手厚いサポートが受けられるので、きちんとした手順を踏めば開業への道は必ず開かれますよ。
     

    出産や結婚を機に離職し自らの子育てにも一区切りついたという保育士は、保育ママの適性がすでに充分備わっています。
     

    身につけた保育の経験とスキルを活かすためにも、復職する選択肢の一つとして保育ママを検討してみてはどうでしょうか?