放課後等デイサービスという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

 

障がいを持った就学児童たちが、学校の授業が終わったあとや夏休みなどのあいだ療育を受けながら過ごす施設が「放課後等デイサービス」です。
 

医療の発達や進歩に伴い障がいのある子どもたちも増えてきている今、まさに保育士が求められている注目の職場となっています。
 

私たち保育士には見逃せない職場である一方、障がい児の療育に携わる仕事に興味があるけど、「放課後等デイサービスでは保育士としてどんなふうに活躍できるの?」と疑問をもっている人もいるかもしれませんね。
 

そんな方のために、今回は放課後等デイサービスの具体的な仕事内容や求人の一例を紹介していきます
 

1.近年急激に増加!放課後等デイサービスとは?

 

放課後等デイサービスは2012年にはじまりましたが、グラフ厚生労働省の資料によると、今や障害児支援にかかる総費用の64.9%を占めているというから驚きです。
 


 

私の趣味は求人情報誌を眺めることですが、実際に新しくオープンする放課後等デイサービスの求人も近年はよくみかけるため、ニーズが高いサービスであることは間違いなありません
 

障がい児の療育に興味がある保育士は、これを機に放課後等デイサービスについての理解を深めてみてくださいね。
 

①制度の法的な位置づけをチェック

 

2012年では未就学児と就学児が一緒に通うサービスでしたが、児童福祉法改正によって未就学児のための「児童発達支援」と就学児のための「放課後等デイサービス」に分かれ、障がいの種類を問わずサービスを受けられるようになりました。
 

児童福祉法で決められた具体的な内容は、
 

この法律で、放課後等デイサービスとは、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定する学校(幼稚園及び大学を除く。)に就学している障害児につき、授業の終了後又は休業日に児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう。(児童福祉法第六条の二の二)

 

となっています。
 

ポイントは通常の学童保育と違って子どもに対して療育的な関わりが求められている点です。
 

放課後等デイサービスの職員は子どもや保護者のニーズに合わせた個別支援計画に基づき、生活上困難な面を克服できるよう支援するだけでなく、社会的な自立に結び付ける役割を果たさなければなりません。
 

「今まで保育所でしか働いたことがなくて、障がい児の保育は未経験だけど……そんな私でも働ける職場なのかな?」と不安に思った人もいるかもしれませんが、新しい知識やスキルを身につけられる機会と前向きにとらえてみてください。
 

興味があって挑戦してみたい気持ちが大事ですし、キャリアアップのチャンスと考えて飛び込めば将来的に保育士として活躍できる幅が広がりますよ。

・対象となるのはどんな児童?

 

放課後等デイサービスを利用できるのは原則として6歳~18歳までの就学児童で、
 

  • 障害手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳

  •  

    障がいのある子どもたちは通常の学童保育に馴染むことが難しいなど、学校外の居場所や過ごし方に対する悩みを抱えています。
     

    悩みを持つのは子どもだけではなく保護者も同様ですから、保護者支援も放課後等デイサービスの重要な仕事と言っていいかもしれません。
     

    保育所保育指針には保育士の職務に「保護者の支援を含む」と書いてありますよね。
     

    これまでに保育士として保護者の支援にあたってきた経験が、放課後等デイサービスに転職した場合にも充分に生かされるのです。
     

    ②放課後等デイサービスのサービス内容

     

    厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」によると、障がいに合わせた個別支援計画に基づき、以下の4つの活動を組み合わせて支援を行うことが放課後等デイサービスでの基本的な活動として挙げられています。
     

  • 自立支援と日常生活の充実のための活動
  • 創作活動
  • 地域交流の機会の提供
  • 余暇の提供

  •  

    これらを通して子どもへの療育の場・居場所の役割を果たすとともに、レスパイトケア(家族の代わりに一時的にケアを施し、日頃の疲れを癒す家族支援サービス)を行うのが主な役割です。
     

    私は子育て支援のボランティア活動に携わっているのですが、そこで出会った発達障がいの子どもをもつ母親が
     

    「子どもは可愛いけれど、24時間気の休まる瞬間がない。余裕が無くなるといつも怒鳴ってしまう。自分が嫌になる」
     

    と思い詰めた表情で打ち明けてくれたことがありました。
     

    子育てをしていると私自身も「ちょっとでもいいから子どもと離れてリフレッシュしたい!」と感じることがよくありますし、同じように感じている保育士さんもいるのではないでしょうか?
     

    子どもを預けてリフレッシュできる場所を持つことで、保護者の心に余裕が生まれ、結果的に子どもとの関係を良好に保つことができますから、放課後等デイサービスは障がいをもつ子どもの療育の場や居場所になるだけでなく、保護者の子育てを支援する心強い味方になりますよ。
     

    ③人員基準の厳格化に注目!

     

    2017年4月から放課後等デイサービスでは以下のように人員基準が変わったことによって、放課後等デイサービスの現場で保育士の需要が最近高まってきています。(詳しくは官報第6954号をご覧ください)
     

    改正前 改正後
    指導員又は保育士 児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者※
    (新 規) 上記に掲げる従業者の半数以上は、児童指導員又は保育士

    ※高等学校を卒業等かつ2年以上障害福祉サービスに従事したもの
     

    注目すべきは、今まで特に資格を問われなかった「指導員」の枠がなくなった点で、児童福祉や障がい福祉に携わった経験のない指導員だけでは子どもを養育する機能を果たせず、もっとサービスの質を向上させる必要性から基準が厳格化しされました。
     

    実際に一部の施設では「子どもにテレビを見せているだけ、ゲームをさせているだけで養育の機能を果たしていない」と問題になっていますし、本来子どもの興味に合わせた遊びを提案すべき場面において、保育士のスキルを活かさずにこのような接し方をするのは酷いですよね。
     

    運営にあたって児童指導員と保育士が半数以上求められるようになったのは、知識や経験を発揮して養育を行ってほしいという期待があってこそですので、保育士の資格や経験が生かせる職場で働きたい人はピッタリかもしれません。
     

    事業所側でも今後は人員基準を満たす「保育士」の確保に動き出すと考えられるため、放課後デイサービスへの転職を考えるなら今がチャンスです。

    ・さらにキャリアアップを目指せる?児童発達管理責任者とは

     

    放課後等デイサービスの運営には、
     

  • 管理者…常勤1名
  • 児童発達管理責任者…常勤1名
  • 児童指導員、保育士又は障害福祉サービス経験者

  •  

    の設置が必須になっています。
     

    児童発達管理責任者とは障がいのある児童に対して個別支援計画を作成し、支援が適切に行われるよう管理する人のことです。
     

    法改正までは保育士として保育所で働いた経験年数は実務経験として認められていませんでしたが、今回の法改正では保育所での実務経験も算入することが可能になりました。
     

    保育所での実務経験が5年以上あれば定められた研修をうけることで児童発達管理責任者への道が開けるようになったので、保育士の経験を生かして活躍の幅を広げられるようになった今回の法改正は、知っておくと将来転職を検討する際にも役立つかもしれませんよ。
     

    保育士以外の資格や実務経験の要件が知りたい方は、「H29サービス管理責任者及び児童発達管理責任者の実務経験の参考資料」をに目を通してみてください。
     

    2.放課後等デイサービスで働く保育士に~仕事内容と求人について

     

    放課後等デイサービスは定員が10名前後のアットホームな職場が多く、少人数を生かしてひとりひとりの障がいに向きあうことができますし、
     

    「今の保育園は人数が多くて……もっと個別にじっくりと子どもと向き合える職場がいいな」
     

    という人にも、ぜひ検討してもらいたい職場です。
     

    保育園とは違い幅ひろい年齢の子どもと接することができるのも魅力のひとつで、保育士として様々な子どもたちと関わり視野を広げておくと、将来的に自分が活躍できる職場の幅が広がり転職のときにも選択肢が増えます。
     

    ①放課後児童クラブと何が違う?具体的な仕事内容を紹介

     

    通常の学童保育である放課後児童クラブと放課後等デイサービスの大きな違いは、送迎があることです。
     

    学校⇒施設・施設⇒自宅まで子どもを安全に送り届けるには、学校と保護者との連携が欠かせません。
     

    施設によっては求人の応募資格に「要普通自動車免許(AT限定可)」と明記されているところもあるので、私のようにペーパードライバーの人は注意してくださいね。
     

    応募資格に普通自動車免許が書かれていない施設でも、念のため採用面接時に車を運転する機会があるかどうかの確認が必要です。
     

    他にも具体的な業務内容の一例をまとめると、
     

  • お迎え・お見送り
  • 戸外や屋内での遊び
  • 日常生活支援(手洗いやうがい、排泄など)
  • 個別課題への取り組みの補助(個別支援計画をもとに展開)
  • 給食やおやつの提供
  • 料理教室や農業体験など地域資源を生かした行事の企画や運営
  • 日報の作成

  •  

    などが挙げられます。
     

    施設によっては、楽器の演奏・パソコン教室・造形など習い事に近い活動を取り入れたり、理学療法士などの資格保持者が配置され専門的な療育を受けることができたりと、生活力向上のための様々なプログラムが用意されているところもありました。
     

    実際の職員として働いたときに困らないよう、転職を考える際にはその施設ならではの売りをチェックしておくのがポイントです。
     

    ②どんな求人があるの?一例を見てみよう

     

    私が調べた放課後等デイサービス求人例をまとめてみると以下のようになりました。
     

    放課後等デイサービス求人の一例
    職種 児童指導員
    雇用形態 正社員
    給与 月給180,000~230,000円程度
    勤務時間 平日:10:00~19:00   土曜・長期休み:8:30~17:30
    休日 週休2日制(日曜+1日)
    待遇 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険など
    応募資格 ・普通自動車免許(AT限定可)保持者

    ・保育士、ヘルパー2級、初任者研修、社会福祉士、教員免許の保持者

    ・実務経験がある人

     

    これを見るとわかるように、勤務時間が長期休みのときと普段とで大きく異なるのが放課後等デイサービスの特徴です。
     

    普段は保育園で働く保育士に比べて遅めの出勤になることから、朝は時間にゆとりを持って家を出たいという人にはぴったりの職場かもしれません。
     

    気になる応募資格ですが、法改正後は未経験無資格者の募集はほとんどなくなりました
     

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    に変わったので、より専門性を生かして活躍したい保育士さんはぜひ放課後等デイサービスの求人を探してみてくださいね。
     

    障がいについての理解が深まる!放課後等デイサービスは今社会に求められている仕事

     

    今回は放課後等デイサービスの仕事内容や求人を探すときのポイントについて見てきました。
     

    放課後等デイサービスは障がいのある子どもを持つ家庭を支え、障がいについての理解を深めながらひとりひとりに寄り添った支援ができるやりがいのある職場です。
     

    転職を検討している保育士さんにとっては、法改正によって売り手市場になった今が絶好のチャンスと言っても過言ではありません。
     

    障がいのある子どもたちやご家族のサポートのために活かしていきたいと感じた方は、放課後等デイサービスで働いてみてはどうでしょうか?
     

    一般的な保育施設とは特徴が大幅に違うぶん、今まで培ってきた保育士としての経験・スキルがきっと活きてきますよ。