保育士は仕事内容のわりに給料が低く、

待機児童解消のための保育士確保が困難であることが社会問題になっています。
 

そんな中でも公務員ならばきっと待遇が良いのだろうという漠然としたイメージが、皆さんの中にもあるのではないでしょうか?
 

実際のところ公務員保育士と私立保育園で働く保育士には、どれほどの給料差があるのか気になりますよね。
 

具体的にどのくらい差が出るのか、きちんとしたデータをもとにチェックしてみることで保育士の現状を正しく把握できます。
 

今回は公務員保育士と私立保育園で働く保育士の給料差や公務員保育士のメリットデメリットなどについてお話していきます。
 

1.公立保育園で働く保育士の給料と私立保育園で働く保育士の給料、ここに注目!

 

自治体が運営する公立保育園に勤める保育士は地方公務員であり、公務員保育士と呼ばれます。
 

公務員と言えば、社会情勢にも左右されない安定した職業というのが社会的な認識です。
 

「公務員保育士の給料は、きっと私立保育園で働く保育士に比べるとずっと良いんだろうな……。」というイメージで羨ましく感じている方もいると思います。
 

雰囲気的に良いだろうと思うだけでは先に進みませんが、公務員保育士と私立保育園で働く保育士の給料の差は、きちんとしたデータをもとに見ていくと分かりやすくなりますよ。

①公立と私立でこれだけ差がある給与面

 

厚生労働省『幼稚園保育所等の経営実態調査結果』によると、公立の保育所と私立の保育所では常勤保育士の職種別に次のような給与面の差があります。
 

職種 公 立 私 立
給与 平均勤続年数 給与 平均勤続年数
施設長 545,053円 33.6年 532,097円 24.1年
主任保育士 496,623円 28.2年 383,029円 21.1年
保育士 287,431円 11.8年 255,415円 8.5年
保育補助者(無資格) 157,953円 3.9年 183,948円 4.1年

※給与には月額給与のほか、賞与の年額の1/12が含まれる
 

これを分析すると、
 

  • 施設長では約1万3千円
  • 主任保育士では約11万4千円
  • 保育士では約3万2千円

  •  

    このように公立の給与が高い結果になっています。
     

    一方で保育士の資格を持っていない保育補助者に関しては、私立のほうが約2万6千円高いです。
     

    無資格で働く場合のみ私立保育園に勤めた方がお得という結果で、勤続年数にもその差が現れており、やはり給与面は長く勤める上で大切だとわかる結果になっていますね。
     

    私が一番意外と感じたのは施設長の給与にあまり差が出ないことです。
     

    勤続年数が20年ほどで施設長になれるならば、私立保育園のほうが給与面で夢が膨らみます。
     

    しかし無認可保育園の施設長は、給料が安く苦労も多いという話も耳にしたことがあるので、あくまで職場の環境次第だと考えたほうがいいかもしれません。

    ②大きく差が出るのは長く務めたとき

     

    役職の付かない保育士だけで考えると意外と給与差が無いように思いますが、主任保育士で約11万4千円もの差が出るのに驚いた人も多いのではないでしょうか?
     

    実は公立と私立で給与差が開く要因は勤続年数にあります。
     

    公務員保育士であれば毎年昇給する決まりがありますが、私立には昇給の決まりが特に定められていません。
     

    初任給は公立と私立で差が出ないよう調整されているので、初めのうちは給与差も少ないのですが、昇給システムに差があるので長い目で見て給与差が開いてくるのです。
     

    私立の認可保育所の給与は公定価格に基づいて勤務年数に応じて毎年5~16%加算されますが、勤続11年で頭打ちになるのが現状です。
     

    長く勤めているのに昇給が無いと、段々と働くモチベーションが下がってしまいますよね。
     

    この違いが私立保育園の中堅保育士が離職する大きな要因になっています。
     

    ③2017年から始まった新たな昇給システムに注目

     

    勤続年数以外にも、役職の少なさが保育士の昇給を妨げています。
     

    保育園には役職が施設長と主任保育士の2つだけで、あとは保育士の勤続年数の違いがあるくらいです。
     

    現在の幼稚園の役職は、
     

  • 園長
  • 副園長
  • 教頭
  • 主幹教諭
  • 指導教諭
  • 教諭
  • 助教諭
  • 講師

  •  

    これだけの種類があります。
     

    役職に合わせて給料も上がると考えると、役職数が少ない保育士はなかなか増給できないことになります。
     

    そこで2017年4月から厚生労働省の方針で、私立の認可保育園を対象に月給4万円を上乗せできる役職として主任保育士に次ぐ副主任と高い専門性を身につけたリーダー職が創設されました。
     

    配置人数は保育園の規模に応じて決められ、7年以上の勤務経験があり厚生労働省が指定する研修を修了した保育士が対象です。
     

    保育園の規模に応じて人数制限がありますが、職務経験3年以上の若手職員も専門分野の研修を修了した場合に月5千円程度の上乗せになります。
     

    長く勤める保育士が報われるのは良いですが、このような救済措置がなくても昇給できる公務員保育士はやはり羨ましいですよね。

    2.今からでもなれる?公務員保育士になるには

     

    公務員保育士は給料の面の他にも以下の点で恵まれています。
     

  • 産休や育休がきちんと取れる
  • 地方公務員としての地位向上ができれば、園長になれる
  • 残業がほとんどない、あっても残業代がきちんと出る

  •  

    私立の保育園では産休や育休が取りづらいというのが実際のところです。
     

    私の職場でも結婚や妊娠出産を機に退職される人がほとんどですが、公務員保育士ならば産休や育休合わせて最大で3年間も取得することができます。
     

    保育園は女性が多く働く職場なので、産休や育休が取得できる職場環境であってほしいですよね。
     

    ここまでのお話を見てきて、なれるものなら公務員保育士になりたいと思った方も多いのではないでしょうか?
     

    ①公務員保育士になるには?まず応募資格があるかどうかチェックする

     

    公務員保育士になりたい人は、まず応募資格を満たすことが必要です。
     

    必ず確認しなければならない項目は、
     

  • 地方公務員法の第16条
  • 年齢制限

  •  

    この2つが挙げられます。
     

    地方公務員法の第16条の条項に関しては当てはまる人はほとんどいないと思いますが、年齢制限は気を付けておきたい項目です。
     

    大体30歳前後で制限をしている自治体が多く、35歳くらいで対象外になってしまう現実があります。
     

    およそこのような基準で振り分けられているのですが、私の居住する自治体では数年前に39歳まで年齢制限がのばされているので、自分の居住する自治体だけでなく他の自治体も隅々までチェックしてみると突破できる道が見つかるかもしれません。
     

    ほかにも、自治体によっては条件として
     

  • 現在市内に居住している者、あるいは採用後に居住する者
  • 幼稚園教諭免許を併せて持っている者
  • 新卒者

  •  

    など指定が入る場合もあるので、自治体のホームページなどでよく確認しておいてくださいね。

    ②試験科目と日程の一例

     

    公務員保育士の採用については各市区町村の広報誌などで公告されます。
     

    見落とさずに情報をキャッチするためにも、公告されたときに確認するのはもちろん、自分から自治体に問い合わせたりホームページをこまめにチェックしたりするのがおすすめです。
     

    基本的にはチェックを欠かさないことが大切ですが、その地域の保育園や児童福祉施設の職員に欠員が出ず、募集のない年もあるので注意が必要になります。

    ・試験倍率はとても高い!

     

    気になる試験の倍率ですが、

    国の政策で保育所の民営化が進められている背景から、ますます狭き門となっています。
     

    私の住む自治体でも平均倍率はなんと10倍もあり、意欲ある優秀な保育士が全国から集まってくる中で10人のうちの1人に入ると考えるとハードルが高いですよね。
     

    採用試験は1次試験と2次試験に分かれているのがほとんどで、1次試験は9月もしくは10月に行われます。
     

    試験内容にも自治体によってばらつきがありますが、一般的な採用試験の内容は以下のようになっています。
     

    【一次試験(筆記試験)】

    教養 現代文、英文、数学、物理、化学、政治・経済、地理、歴史 など高校卒業程度の内容
    専門 保育士の専門知識を問う、社会福祉、児童福祉、発達心理、保育原理 など
    作文 保育に関するテーマ など

     

    【二次試験】

    実技 ピアノ演奏、図画工作、朗読 など
    面接 個別面接または集団面接

     

    保育士試験とはまた違って、一般教養や面接まで幅広い対策が必要ですね。
     

    ③公務員保育士のデメリットは?

     

    これまで公務員保育士の良いところばかり見てきましたが、公務員保育士にも以下のようなデメリットがあります。
     

  • 異動がある
  • 希望通りの配属先になるとは限らない
  • 平均年齢が高く、若い先生が少ない
  • 採用試験合格の有効期限が1年しかない

  •  

    公務員保育士は地方公務員であることから自治体内での異動を免れません。
     

    場合によっては引っ越しも必要なため定期的に職場環境が変わるストレスもあります。
     

    ここで見落としがちになるのが、配属先の問題です。
     

    公務員保育士は保育園のほかに、保育士が働ける児童福祉施設(児童養護施設や乳児院など)に配属が決定になる可能性もあります。
     

    自分が思い描いていた配属先と違ったら、一気にモチベーションが下がりそうですよね。
     

    またせっかく苦労して試験に合格しても、採用候補者名簿に名前が掲載される1年間のうちに施設から募集の声がかからなかった場合は白紙になってしまうという難点もあります。
     

    休暇や残業の面で恵まれている公務員保育士ですが、このようなデメリットも少なからず存在することを押さえておいてください。

    公立でも私立でも、自分に合った環境で働くのが一番!

     

    公務員保育士でも私立保育園の保育士でも、自分が生き生きと働ける職場で活躍するのが一番です。
     

    給与や待遇の面ばかりが居心地を良くする条件とは限りません。
     

    保育に対する理念や人間関係の良さが決め手となって今の職場を選んだ方もいるのではないでしょうか?
     

    公務員保育士は、私立保育園の保育士と比べると恵まれているように思えて羨ましいですよね。
     

    しかし施設数でいえば私立保育園のほうが圧倒的に多いので、

    きちんと探せば自分に合った職場に出会える確率も高くなるはずです。
     

    どのような職場でも、ここが私に合っていると自分で納得できていれば毎日生き生きと働くことができますよ。
     

    条件や形式にとらわれず、保育士として理想的な働き方ができる職場に出会えることを願っています。