保育園で働きたいと思ったときに、人によって職場を選ぶ基準はいろいろあると思います。
 

具体的には、
 

  • 家から近い
  • 保育方針が合っている
  • 給料が良い


 

などが挙げられますが、条件の中に「認可保育園であること」が入っている保育士もいるのではないでしょうか?
 

確かに認可保育園は行政から認められた保育園ですし、きちんとしたところで働きたいと考えている人には特に安心できる園ですよね。
 

一方で「無認可保育園=劣悪環境」と一括りにして避けてしまう方もいるかもしれませんが、これでは条件の良い求人を見落としてしまいかねません。
 

今回は保育士として働く目線から、認可保育園と無認可保育園の違い・転職するときに職場を選ぶ参考になるお話をしていきます。
 

1.認可保育園と無認可保育園の違いってなに?

 

認可保育園と無認可保育園、保育士として働くならどちらが良いか決めている人もいるかもしれません。
 

私の周りにいる保育士に聞いてみたところ、
 

「なんとなく認可だと安心だから認可保育園が良いと思う。無認可って保育環境が悪くて事故が多いイメージがあるし……」
 

という認可保育園を支持する声がほとんどな中で、
 

「そんなの考えたこと無かった。自分の子どもを入れるなら保育料が安いから認可保育園だけど」
 

といった意見もありました。
 

無認可保育園が良いと答えた人は残念ながらいませんでしたが、具体的に認可保育園と無認可保育園の違いを把握しているかと聞くと、「よくわからない」というのが実際のところです。
 

なんとなくのイメージだけで無認可保育園を避けてしまうのは、職場を選ぶときに選択の幅が狭まってしまってもったいないですよね。
 

保育士として知っておきたい認可保育園と無認可保育園の違いについて、これを機に確認してみてください。
 

①認可保育所とは?国で定められた基準がある

 

認可保育園とは児童福祉法に基づいて国が定めた基準を満たした保育園のことです。
 

具体的に国が定めた基準を厚生労働省の子ども・子育て支援新制度の資料から簡単にまとめると、
 

国基準(児童福祉施設最低基準)
開所時間 1日につき11時間、保育時間は1日8時間が原則
職員配置 ・保育士:0歳児 3人に保育士1人(3:1)

1・2歳児 6:1

3歳児 20:1

4歳以上児 30:1
※3歳児については、15:1で実施の場合加算あり
※ただし、保育士は最低2名以上配置

・保育士の他、嘱託医及び調理員は必置

※ 調理業務を全て委託する場合は、調理員を置かなくても可

必要な設備 ・ 0、1歳児を入所させる保育所 : 乳児室又はほふく室及び調理室
→ 乳児室の面積 : 1.65㎡以上/人ほふく室の面積 : 3.3㎡以上/人
・ 2歳以上児を入所させる保育所 : 保育室又は遊戯室及び調理室
→ 保育室又は遊戯室の面積 : 1.98㎡以上/人
参酌すべき基準の例 ・原則として2キロメートル以内に保育所がないこと

・屋外遊戯場の設置

・必要な用具の備え付け

・耐火上の基準 など

 

上記のように決められています。
 

これを見て「あれ?意外と基準が緩いな……」と感じた人もいるかもしれませんが、国の基準は児童福祉法に定められた最低基準です。
 

現場で働いている保育士からすると4歳以上児30人を保育士1人で保育するなんて、ちょっと考えられないですよね。
 

あくまで最低基準なので、自治体によってはより厳しい認可基準が設定されています。

・認可されるとどうなるの?

 

ある程度の保育環境が保障される点が認可保育園のメリットですが、経営者の立場になった場合に大きな違いになるのは補助金がもらえるかどうかです。
 

認可されれば自治体から補助金をもらって運営できるため保育園の安定した収入に繋がり、結果的にそれが保育士の給料にも反映されていくのは間違いありません
 

給料の面で見ても、認可保育園が保育士にとって安心材料になるのではないでしょうか?
 

2015年には政府主導による「子ども・子育て支援新制度」がスタートし、新たに小規模保育園が認可対象になりました。
 

小規模保育園は働く保育士にとってメリットが大きい園ですし、当サイトでも記事を書いていますので、興味のある人は概要を確認してみてくださいね。
 

⇒【ひとりひとりの子供とじっくり向き合える!小規模保育園で働くメリットについて
 

②無認可保育園とは?保育料を独自に定められるなど自由度が高い

 

無認可保育園は正式には認可外保育施設と呼ばれ、
 

「認可外保育施設」とは、児童福祉法に基づく都道府県知事などの認可を受けていない保育施設のことで、このうち、〔1〕夜8時以降の保育、〔2〕宿泊を伴う保育、〔3〕一時預かりの子どもが利用児童の半数以上、のいずれかを常時運営している施設については、「ベビーホテル」といいます。

 

というのが具体的な内容です。
 

認可保育園との違いは基本的には補助金を受けられない点にあります。
 

自治体によっては「認可外保育所通園児補助金」を設けており月に9,000円から3万円ほどの補助を行う自治体もありますが、正直言って運営の助けになるほどではありません。
 

補助金のない中で保育園が赤字にならないよう保育料を設定し、かつ安定した園児数を確保しなければならないとしたら非常に大変です。
 

例えば保育料が高額すぎたり、設備にお金がかけられず保育環境が悪かったりすると、園児が集まらずに倒産してしまいますよね。
 

こうした運営面の大変さもあってか、厚生労働省「平成27年度認可外保育施設の現況取りまとめ」を見てもわかるとおり、近年の認可基準緩和の動きを受けて認可外保育施設数は減ってきました。
 

認可を受けられるまでの繋ぎとして認可外保育施設を始める経営者もおり、一概に無認可保育園=劣悪環境とは言えません。
 

自由度が高いからなんでもアリというわけでもなく、6人以上の子供を保育する施設は年に1度は必ず行政による立ち入り調査を受けなければならないため、保育環境が悪い保育園にはきちんと行政による指導が入っています。(厚生労働省「認可外保育施設指導監督の指針」参照)
 

一般的に思われているよりも無認可保育園は企業努力を怠らず、劣悪な環境にならないよう配慮しているのは見逃せないポイントです。

・保育に欠けていなくても入園OK!

 

認可保育園のように厳しい規制は設けられていないので、園児の受け入れも園独自です。
 

保護者の就労や疾病など「保育に欠ける」状況でしか入園できない認可保育園とは違って保育に欠けていなくても入園できるため、「保育に欠ける」ことを証明する目的で無認可保育園に子どもを預けて働き、認可保育園の入園審査が通ったあと転園する家庭も少なくありません
 

実際に無認可保育園で働く保育士に話を聞くと「認可保育園に入園できなかった子どもが殺到したり、認可保育園に入園許可が出たら退園したりするのもよくあること……園児の入れ替わりが激しいから、その都度アレルギーとか把握するのが大変」と言っていました。
 

もちろんすべての園に当てはまるとは限りませんが、認可保育園に入園するための繋ぎになってしまうのは、働く保育士からするとなんだか寂しいことですね。
 

無認可保育園に転職を検討するときにはそういったデメリットも考慮しておくことが必要です。

・なぜ無認可保育園は保育環境が悪いというイメージがあるのか?

 

「なんとなく無認可保育園は保育環境が悪いイメージがある」という人は私の周りにも多いです。
 

実はそのようなイメージを持つ背景にはきちんとした根拠があり、内閣府の資料をもとに近年保育所で保育中に起きた死亡事故件数をまとめると、
 

H24 H25 H26 H27 H28
認可保育所 6件 4件 5件 2件 5件
認可外保育施設 12件 15件 12件 10件 7件

参考:平成 28 年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表及び事故防止対策について
 

このように認可外保育施設では認可保育所の約2倍死亡事故件数が多いです。
 

認可保育所の園児数が認可外保育施設の約14倍であることを考慮し、死亡事故率に置き換えると約30~45倍と決して少ない数字ではありません。
 

この事実をみると「無認可保育園は劣悪環境だから働きたくない!」となる気持ちもよくわかりますよね。
 

私も正直この数字には驚きましたし、保育士としてとても心が痛みました。
 

安全管理に欠ける園があることは事実ですが、だからといって全ての無認可保育園が駄目というわけではありませんので、このような背景を踏まえつつ、最終的には自分の目で見て判断してみてはどうでしょうか?
 

③保育園の新システム!認証保育園とは

 

「認証保育園」という言葉を聞いたことがある人はそれほど多くないかもしれません。
 

広い土地が確保できない東京都では、認可保育園の設置基準をクリアできず保育園の設置が難しい状況が続いていましたが、待機児童の問題や大都市ならではの保育ニーズに応えるべく、東京都が2001年から独自に創設したのが認証保育園制度です。
 

大都市ならではの保育ニーズとは、
 

  • 送迎が便利な場所に保育園があってほしい
  • 急な残業などにも柔軟に対応してほしい
  • 自治体など行政に認められた保育園に預けたい

  •  

    などが挙げられます。
     

    その問題を解決するために生まれた東京の「認証保育園」では、以下のように独自の基準が定められており、
     

    東京都基準 認証保育所A型
    (駅前設置型)
    認証保育所B型
    (小規模型)
    設置者 区市町村、社会福祉法人、民間事業者等 民間事業者等 個人
    対象児童 0 歳~小学校就学前 0 歳~小学校就学前 0~2 歳
    申込方法

    入所決定

    利用者が区市町村へ申し込み、区市町村が入所決定 利用者が認証保育所へ申し込み、直接契約
    規模 20 人以上 20~120 人 6~29 人



    乳児室・ほふく室
    (0,1 歳児)
    3.3 ㎡/1 人 3.3 ㎡/1 人
    (年度途中は2.5㎡/1 人まで弾力化)
    2.5 ㎡/1 人
    保育室・遊戯室
    (2 歳以上児)
    1.98 ㎡/1 人 1.98 ㎡/1 人 1.98 ㎡/1 人
    屋外遊戯室
    (2 歳以上児)
    3.3 ㎡/1 人 3.3 ㎡/1 人 基準なし



    配置基準
    (児童数:職員数)
    0 歳児 3:1
    1 歳児 6:1
    2 歳児 6:1
    3 歳児 20:1
    4 歳以上児 30:1
    0 歳児 3:1
    1 歳児 6:1
    2 歳児 6:1
    3 歳児 20:1
    4 歳以上児 30:1
    0 歳児 3:1
    1 歳児 6:1
    2 歳児 6:1
    保育従事者 全て保育士 保育士は6 割で可 保育士は6 割で可

    (内閣府資料「保育の現状」参照)
     

    上記のように細かい指定があるものの、普通の認可保育園との違いを簡単に言うと、
     

  • 入所の申し込みと契約が保育園にゆだねられていること
  • 保育従事者の内訳が保育士6割で認められること
  • 開所時間が長いこと

  •  

    の3点です。
     

    保護者目線で考えると「東京都の認証を受けている保育園」として安心してこどもを預けられる上に、開所時間が長く駅チカで通勤にも便利でとてもありがたい施設ですよね。
     

    一方、働く保育士の目線で注意が必要なのは保育従事者が保育士とは限らないことです。
     

    職員の知識やスキルに差があると考えられるため、就職したらその辺りを理解して立ち回らなければなりません。
     

    開所時間も長く、シフト幅が広くて1日のリズムが掴みづらい面もあるものの、駅前設置型では駅チカで通勤に便利など働きやすい利点もあります。
     

    認証保育所A型(駅前設置型)については、別の記事で取り扱っているので興味のある人はぜひチェックしてみてくださいね。
     

    ⇒【JRと一緒に共働き家庭を応援!駅型保育園の魅力とは?
     

    2.働くならどっちが良いの?保育園の選び方

     

    「結局働くなら認可保育園と無認可保育園、どっちが良いの?やっぱり認可保育園なの?」と思った人のために、今度は保育士として働く上で保育園を選ぶポイントを次に整理していきます。
     

    ①公立の認可保育園

     

    認可保育園は公立保育園と私立保育園に分かれますが、公立保育園のメリットは何といっても給与面において安定していることです。
     

    入職したばかりでは私立保育園と給料に差はありませんが、公立保育園で働く保育士は「公務員」ですから長い目で見ると給料は段階的に上がっていきますし、育休などの福利厚生面も申し分ありません。
     

    デメリットとして挙げられることと言えば、
     

  • 就職試験が難しいこと
  • 試験に年齢制限が設けられていること
  • 転勤があること
  • 施設数が少ないこと

  • この4点です。
     

    「公務員として働ける」というだけで、安定志向のある保育士には魅力的な職場になりますよ。
     

    公務員保育士についての記事も書いていますので、もっと詳しく知りたい人は参考にしてみてください。
     

    ⇒【長く勤めるほど有利?公務員保育士のメリットとは
     

    ②私立の認可保育園

     

    私立認可保育園のメリットは、保育園ごとに保育方針や待遇などに大きく差がある点で、選ぶ保育園によっては即給料アップも夢ではありません。
     

    各保育園が売りにしているサービスをチェックして、自分に合った保育方針の保育園を選べるのも魅力のひとつです。
     

    自分の目指す保育士像と一致する保育園が見つかれば、もしかするとそこが一生の職場になるかもしれませんよ。
     

    デメリットとしては条件の良い保育園ほど人気があって、求人がすぐに埋まってしまうことで、「この保育園の求人凄く良かったのに、もう募集が締め切られちゃった……」とならないように、保育士向け求人サイトに登録してみてはどうでしょうか?
     

    担当の求人コンサルタントが希望に合った求人をいち早く教えてくれるので、安心して転職活動を進めていけます。
     

    ②無認可保育園~あえて無認可で運営する保育園もある

     

    無認可の保育園は「単純に設備等の基準を満たさず認可を受けられない施設」と「認可を受けられる設備や人は揃っているが、規制を嫌ってあえて認可を受けない施設」の2つに大きく分けられます。
     

    私が注目したのは後者の保育園で、規制がないということはどこまでも利用者のニーズに合わせて保育環境を追求していけるということに他なりません
     

    保育園の中には、
     

  • 小規模でアットホームな雰囲気の中で、手厚く子どもに関われると人気の園
  • インターナショナルプリスクールを展開し、幼児期の英語教育に力を入れている園
  • スポーツやアート教育に尽力している園

  •  

    などオリジナリティーの高い保育を実現する園もありますが、きちんとした理念を持つ園では職員を大事にしているところが多く、給料が比較的高く待遇が良いことがほとんどです。
     

    「志の高い保育園で保育士としてのスキルを存分に発揮してみたい!」という人は、こうした園への転職をぜひ検討してくださいね。
     

    認可と無認可の違いを理解して、自分に合った職場を探そう

     

    認可保育園と無認可保育園の違いについて、保育士として働くならどちらがいいのかという視点からお話してきました。
     

    今まで何となくのイメージで無認可保育園を避けてきた人は、認可保育園との具体的な違いがわかって少し見方が変わったかもしれません。
     

    無認可保育園の保育環境は悪いと一括りにできないのと同じく、認可保育園だからといって給与等の条件が良いとは限りませんし、結局のところ認可・無認可の特徴を理解し参考にしながら、求人を比較検討していくことが自分に合った職場に出会う近道になりますよ。
     

    実際に保育士の求人を比較検討するには保育士向け転職サイトを見ると1番効率が良いので、まずは一度登録してみてはどうでしょうか?