近くに医療設備の整った病院があれば緊急時でもすぐにみてもらえる一方、僻地や離島に住んでいる方には難しいです。
 

病気や事故はいつ起こるか予測できるものではないですし、このような方々が高度な医療を受けられるように、最近ドクターヘリを設置している病院が増えてきました。
 

ドクターヘリには医師だけではなく看護師も同乗しており、そこで働くフライトナースには病棟よりもさらに高い技術や知識が求められますが、具体的な役割やなり方についてよくわからない人も多いのではないでしょうか?
 

病棟看護師とは実際どのくらい違うのかも知っておきたいですよね。
 

ここではフライトナースになりたい方に向けて、仕事内容や選考基準についてお話ししていきます。
 

1.フライトナースになりたい!

 

テキパキと仕事をこなし、人々の命を守るフライトナースの実態を探ってみました。
 

①フライトナースってなに?

 

フライトナースはフライトドクターと連携しつつ、救急車の何倍ものスピードで現場に到着できるドクターヘリに乗り、迅速かつ慎重に患者さんの救命処置を行なっています。
 

具体的には、
 

  • ヘリ内での情報収集
  • 静脈路確保
  • フライトドクターの治療の補助
  • 患者さんやそのご家族へのケア
  • 看護記録の記載
  • 搬送中の患者さんの状態管理
  •  

    このようなものがフライトナースの仕事です。
     

    「どれも病棟でやっていることだし、私にもできるかも!」と考える人もいると思いますが、ドクターヘリでは病棟とは違う看護が用いられるため仕事は簡単ではありません。
     

    救命の現場はいかに短時間で患者さんに合ったケアを提供できるかどうかで命を救えるかが決まりますから、限られた人員や情報・物品しかない環境下で患者さんのケアにあたるフライトナースの仕事は、それだけ厳しいものだと理解しておいてくださいね。
     

    ②いつもはどんな仕事をしているの?

     

    フライトナースはシフト制のため、全く出動要請のない日もあれば1日4回ドクターヘリに乗る日もあり、担当日の出動状況を予測するのは難しいですし、常に気が抜けない環境で働いています。
     

    担当日以外はどのような仕事をしているのか気になる方もいるかもしれませんが、実はフライトナースは常にドクターヘリで飛び回っているわけではありません。
     

    救急救命センターへの所属が必須なことから、担当日以外は救急外来や病棟で患者さんのケアに当たっており、その点は一般の看護師と同じです。
     

    ③フライトナースに必要な資質はこれ!

     

    救急救命の高度な技術や知識はもちろん、フライトナースとして働くうえで一番大切なスキルは判断力です。
     

    フライトナースが働くドクターヘリではスタッフや医療器具・患者さんの情報は限られたものしかありませんが、情報は患者さんのケアを行う上でなくてはならないものであり、
     

    私も病院で働いていたときは、出勤時間よりも早く病棟に入って患者さんの情報を何日も前まで遡り把握していました。
     

    これほど情報は重要なものである一方、ドクターヘリには「交通事故」「意識不明」程度しか入ってこないケースも少なくありません。
     

    情報がほんのわずかしかない環境で患者さん一人一人に合った治療や、
     

    ケアに必要な物品の準備を短時間で行わなければならないため、フライトナースには相応の判断力が不可欠なものの、判断力というと限られた人にしかないように感じる方もいるのではないでしょうか?
     

    たとえ今は自分の判断力に自信が持てなくても、地道に経験を積んでいけばどんな状況にも適切な対応ができる看護師になれますよ。
     

    フライトナースとして働く上で重要なスキルを獲得できるように、まずは目の前の仕事に真剣に取り組んでいってください。
     

    2.フライトナースになるメリット・デメリットについて

     

    フライトナースになればスキルアップできるメリットがある反面、責任の重い仕事に疲れを感じてしまうデメリットもあります。
     

    ①やりがいのある仕事ができる

     

    ドクターヘリの患者さんは重症の方ばかりで、フライトナースの看護によって患者さんの状態が変わることもある非常に責任重大な仕事です。
     

    患者さんのリアルタイムの救命処置に関われることから、病棟よりも充実感を感じられる仕事ですし、フライトドクターと「患者さんの命を救う」という同じ目標に向かって協力できるためやりがいについては申し分ありません。
     

    やはり病棟で働いていると医師の指示待ちになることが多く、どうしても看護師は医師の部下といったイメージをぬぐえませんが、フライトナースになればチームとして対等な仕事ができるので、治療にも積極的に関わっていきやすいですよね。
     

    病棟看護師では決して体験できない充実感のある仕事に携われるのが、フライトナースになるメリットです。
     

    ②自分の実力を試せる

     

    フライトナースは救急外来や病棟と違い判断に悩んでも他の同僚に相談ができません。
     

    ドクターヘリに乗っているフライトナースは1人であり、主な仕事は医師の治療の補助となっているものの、患者さんが複数いる場合は看護師の判断で処置を行う必要があります。
     

    ドクターヘリを要請した患者さんは時間との戦いである方が多く、医師の指示待ちをしていては救える命も救えなくなってしまいますから、フライトナースには患者さんの命を救えるだけの知識や技術・素早い判断力が求められる点は押さえておいてくださいね。
     

    病棟の看護師よりも重い責任が課せられますが、自分の実力を試したい方にはぴったりの仕事です。
     

    ③責任の重い仕事にストレスを感じる人も

     

    看護師の仕事は人の命を扱う非常に責任の重いもので、私も透析室で働いていたときは透析中の患者さんが意識を失ってしまったり、穿刺部位の出血が止まらなかったりと大変怖い思いをした経験が何度もありました。
     

    フライトナースも例外ではなく、医療器具や患者さんの情報・スタッフなどが限られた環境の中で救命処置を行うのは大変難しく、少しのミスが命取りになってしまいます。
     

    過酷な環境下での看護にやりがいを感じられる人にはフライトナースは適任ですが、怖いと感じるようであれば向いていないかもしれません。
     

    ドクターヘリは病棟以上に看護技術や知識が試される場所であり、恐れから実力を十分に発揮できないようであればはっきり言って足手まといですし、
     

    憧れだけでなってしまっては後々つらい思いをしてしまうので、フライトナースになる際は今一度慎重に考えてみてはどうでしょうか?
     

    3.フライトナースになるために知っておくべきこととは?

     

    フライトナースになるにはどうすれば良いのか、3つのポイントにまとめてみました。
     

    ①フライトナースになれる病院ってどこ?

     

    ドクターヘリはどこの病院にもあるわけではなく、全国41道府県の51病院(2017年3月現在)にしか配備されていません。
     

    フライトナースになりたければこの51病院のどこかの救急救命センターで働かなければいけませんが、限られた病院の救急救命センターに配属されるのはなかなか狭き門です。
     

    このように聞くと「なんかフライトナースって簡単になれるものじゃないんだ……。」とショックを受けてしまう人もいると思いますが、救急部門で働く看護師全てがフライトナースを目指しているわけではないので、努力し続ければ自ずと配属への道は開けますよ。
     

    参考:救急ヘリ病院ネットワーク 

    ・ドクターヘリのない病院に就職してしまったら?

     

    認定看護師や専門看護師であれば今の病院で働きながら資格取得を目指せる一方、ドクターヘリのない病院に入職してしまった看護師がフライトナースになりたい場合は転職する必要があります。
     

    もちろん転職したからといって必ずしもフライトナースになれるわけではないので注意しなければいけません。
     

    私の友人にも資格を活かしたくて転職した人がいましたが、無事その資格の枠で採用されたものの、面接時に希望部署で働ける確約を取り付けなかったため、希望とは違う部署に配属されてしまいました。
     

    せっかく病院を辞めたのに夢を叶えられないようであれば、転職した甲斐がないですよね。
     

    みなさんも新しい病院へ転職をする際は、フライトナースの求人の有無を確認し、面接時にフライトナースになりたい希望を伝えるのがポイントです。
     

    ②フライトナースのお給料とは?

     

    フライトナースはいくらくらいお給料をもらっているのか気になる人もいると思います。
     

    危険手当や特別手当はつくものの、基本的には救急救命センター所属の看護師であることから、病棟の看護師ともらえるお給料に違いはありません
     

    仕事の過酷さや技術の高さという点で、一般的な看護師よりももらえると思っていた人には意外だったかもしれませんね。
     

    ドクターヘリは夜間は飛ばないため夜勤手当も減ってしまいますので、お給料が求められるスキルに見合うのかをよく考えたうえでフライトナースになるか検討してみてはどうでしょうか?

    ③フライトナースに選出されるのって難易度が高い?

     

    フライトナースはなりたいからといって誰にでもなれるわけではなく、選考基準が日本航空医療学会のフライトナース委員会より定められており、その基準を満たす必要があります。
     

    フライトナースの選出基準は、
     

  • 看護師経験5年以上かつ救急経験3年以上ある現場でリーダーシップを取れる人
  • ACLSプロバイダーおよびJPTECプロバイダーの資格を取得していること
  • 日本航空医療学会がによるドクターヘリ講習会を受講していること
  •  

    この3つです。
     

    上記2つに関しては同等の能力があれば必ずしも資格や経験年数は問われないので、一度確認してみてください。
     

    病院独自の選考基準を設けているところもありますが、この基準はほとんどの病院で採用されていますし、最低でもこの3つの条件のクリアを目標にするとフライトナースへの道がグッと違づきますよ。
     

    もちろん条件は前提で、一番重要なのは病院内でフライトナースに選出されることですから、ドクターヘリでの仕事が行えるように、フライトナースにふさわしいと認められるように努力するのが大切です。
     

    フライトナースになって多くの人の命を救おう

     

    フライトナースは怪我や病気の患者さんの元に急行し、その命を救う重大な役割を担っていることがわかりました。
     

    看護師として働く以上、自分の実力を試せるような職場で働きたいと考える人は少なくありません。
     

    ドクターヘリで働くフライトナースには高度で専門的な知識や技術が求められるため、病棟ではなかなか感じられないようなやりがいと充実感を感じたい人は目指してみてはどうでしょうか?
     

    僻地や離島へ駆けつけて自己判断のもと適切な処置ができれば、あなたの手で患者さんの命を救うことができるのです。
     

    みなさんも確かな実力を持ったフライトナースになり、一刻も早い治療を必要としている患者さんのために命を救うケアを提供していってくださいね。