最近では看護師と保健師の資格が同時に取れる学校が増えてきているため、
 

「看護師の技術を一通り身に付けたら、保健師を目指そう!」
 

と考えている方もいると思います。
 

保健師には健康な人が病気にならないようにサポートする役割があり、看護師の知識や技術を十分に生かせるので、新しい職場で自分の実力を試したい方にもぴったりな仕事です。
 

保健師が活躍するフィールドは、行政や病院、クリニックなどが考えられますが、企業で働く保健師を目指してみるのも良いのではないでしょうか?
 

産業保健師は従業員が心身ともに健康な状態で働けるようにサポートする仕事であり、会社にとっては欠かせない人材です。
 

みなさんが自分の希望に合った求人を見つけられるように、仕事内容や就職先について詳しくお伝えしていきます。
 

1.産業保健師とは?

 

病院で働いていると、行政保健師や病院保健師と関わる機会はあっても産業保健師と仕事をする機会はほとんどないはずです。
 

また学校でも職場見学くらいしか実習がないため、仕事内容が曖昧にしかわからない方も多いと思います。
 

ここでは産業保健師に必要なことや仕事内容についてわかりやすく説明していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

①必要な資格は1つだけ!

 

50人以上の従業員がいる企業では、衛生管理者の資格を持つものを1人以上配置する義務があります。
 

この資格は普通の方でも試験に受かれば取得することができますが、保健師の資格を持っていれば、試験を受けなくても第一種衛生管理者の免許が与えられるのです。
 

このような理由から産業保健師に必要な資格は保健師の資格だけと言えますね。

・看護師資格しか持っていない場合

 

看護師の資格しか持っていなくても、第一種衛生管理者の免許を得られれば働くことができます。
 

資格取得には試験を受けなければなりませんが、難易度はどのくらいなのでしょうか?
 

安全衛生技術試験協会によると第一種衛生管理者試験の平成27年度の合格率は55.5%となっています。決して難しい試験ではありませんが、ある程度勉強しなければ合格は難しいと言えますね。
 

しかし、医師を配置している企業では産業医が第一種衛生管理者の免許を取得しているので、看護師が第一種衛生管理者の免許を持っていなくても企業で働くことは不可能ではないのです。
 

ちなみに企業で働く看護師を産業看護師と呼ぶこともありますが、産業保健師と業務内容の区別がついていないところがほとんどだとされています。

②配置基準は存在する?

 

労働安全衛生法によると保健師の配置基準は、

「常時50人以上の社員がいる企業では産業医を配置しなければならない」

と定められていますが、保健師や看護師には特に決まりはないのです。

参考:事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会 報告書
 

明確な基準がなく各企業の判断に任せていますが、従業員が1000人以上の企業では産業保健師を配置しているケースが多くあります。
 

その反面300人以下の小さな企業では、保健師の配置が進んでいない現状があるのです。
 

医師と異なり保健師の配置基準に関する明確な決まりはありませんが、従業員の健康をサポートする人がいることは企業にとって大きな強みとなります。
 

仕事の必要性を世間に浸透させるためにも、みなさんも企業で働いてみませんか?

③産業保健師の社内での役割

 

産業保健師の主な仕事内容は、
 

  • 定期健康診断の実施
  • 健康診断のデータから問題抽出
  • 特定保健指導
  • 従業員へのケガや病気の処置
  • メンタルヘルスのケア
  • 健康相談
  •  

    が挙げられます。
     

    ここから見てもわかるように会社で働く全ての人の身体面だけではなく、精神面もサポートすることで健康管理を行っているのですね。
     

    またデータ管理などのデスクワークが多いので、ワードやエクセルくらいの基本的なパソコン操作は必須です。

    ・メンタルヘルスケア対策

     

    目まぐるしく変化する現代社会で働いている私たちは、自分でも気がつかぬうちにストレスを体に溜め込んでいます。
     

    ストレスがどんどん蓄積されると精神面に悪影響を及ぼすため、最近ではメンタルヘルスケア対策に力を入れている企業が多いです。
     

    産業保健師は、
     

  • 仕事にストレスや不安を感じている社員との面談
  • 休職中の社員との面談(生活状況や受診状況の確認)
  • 休職中の社員が仕事復帰できるような働きかけ
  •  

    を通じ、社員が心身ともに健やかな状況で働けるように支援しています。
     

    従業員が気軽に自分の気持ちを打ち明けられる存在でいられるように、普段から社員と積極的にコミュニケーションを図っておくことが大切です。

    ・労働環境を整えることも

     

    従業員に直接関わるだけでなく労働環境の改善も大事な役割と言えます。
     

    職場巡視を定期的に実施したり、改善策を上司と検討したり、従業員の労働時間を把握したりすることで、職場の事故やケガの発生リスクを下げているのです。
     

    みなさんも企業にとって縁の下の力持ち的な存在である産業保健師になり、社員の健康をサポートしてみてはいかがでしょうか?

    2.産業保健師の求人について

     

    看護師の求人はよく見かけますが産業保健師の求人ともなると、見かける機会は少ないかと思います。
     

    なぜ求人が少ないのかどのようなところで募集が出ているのかについて説明していくので、就職活動にお役立てください。

    ①募集が少ないのはどうして?

     

    「産業保健師になりたい!」
     

    と考え求人サイトを検索しても、仕事はほとんど見つからないと思います。
     

    もともと保健師の仕事は求人倍率が高く就職するのが難しいと言われていますが、産業保健師でもその傾向が強くあるのです。
     

    なかなか求人を出している企業に巡り会えず、働きたくても働くことができない保健師の方が大勢いる現状があります。
     

    なぜこのような現象が起きているのかについて次にお話ししていきますね。

    ・退職者が少ない

     

    産業保健師の仕事は夜勤や重労働がないため、長く働き続けられる職業です。
     

    それだけでなく出産・育児に関する制度が整っているので、働くお母さんたちにとっても安心して職場復帰ができる環境だと言えます。
     

    このように、
     

  • 安定した環境で働ける
  • 産後の職場復帰のサポートもバッチリ
  • 夜勤や重労働で体を壊す心配がない
  •  

    という理由から途中で仕事をやめる人はほとんどいないのです。
     

    一度就職すると定年まで働き続ける人が多くポストに空きがでないことが、求人が少ない原因かもしれません。

    ・企業に1人しか配置されないことが多い

     

    従業員が50名以上の企業には産業医を1名配置するとありますが、産業保健師にはそのような設置義務はありません。
     

    産業医だけで仕事が回らないときに募集するケースが多く、企業に1人しか配置されない場合がよくあります。
     

    このように企業にポストが1つしかないため求人が少ないのです。
     

    さらに産業保健師は定期採用を行っていないので日頃からアンテナを張り巡らせ、求人情報をチェックすることが求められています。
     

    希望の仕事に就くために、根気強く就職先探しを行うことが重要ですね。

    ②どんなところで募集が出てる?

     

    看護師の求人はネットや新聞広告、情報誌など至るところで目にするかと思います。
     

    では産業保健師はどんなところで募集が出ているのでしょうか?
     

    一般的な求人の探し方にはインターネットでの検索が挙げられます。自宅で時間を気にせず好きなタイミングで求人検索ができるので、気軽に活用できますね。
     

    当サイトでもおすすめの看護師転職サイトを紹介しているため、求人探しの際にはぜひお役立てください。
     

    保健師の求人は人気が高いのでせっかく求人を見つけても、タイミングによっては募集が終わっているケースもあります。そのような状況に陥らないように、定期的にサイトをチェックすることが大切です。

    ・知り合いからの紹介というケースも

     

    産業保健師の仕事は人から人への紹介というケースが多くあるため、自分の力だけでは求人を見つけられないという現状があります。そのため母校の教員や既に企業で働いている知り合いのツテをたどり、就職先を見つけることも重要ですね。
     

    求人は滅多になく待っていても情報は手に入らないでしょう。産業保健師になりたいという熱意のある求人活動が求められています。

    ③面接では即戦力をアピールしよう

     

    産業保健師の求人を見つけて面接までたどり着いたら、何とかして仕事をゲットしたいですよね。
     

    面接で採用されるポイントは、企業から欲しい人材だと思ってもらうことです。
     

    では会社で働きたい場合はどのような点をアピールしていけば良いのでしょうか?
     

    企業の多くは即戦力を求めているため、今まで習得してきた技術や知識を会社にどう活かせるのか、企業に勤めたらどのような保健活動を行なっていくのかという具体的なプレゼンが必要です。
     

    自分の持っている知識や技術をうまくアピールし、即戦力であると理解してもらうことが産業保健師の面接では大切だと言えます。

    3.産業保健師になるための求人選びのポイント

     

    産業保健師は人気の職業であり、求人倍率が非常に高い仕事です。
     

    そのためどんな環境でもいいから働きたいと考える人もいるでしょうが、自分に合った就職先を見つけられなければ良い仕事はできません。
     

    みなさんが充実感のある仕事ができるように、求人選びのポイントについて次に紹介していきますね。

    ①大企業か中小企業どちらが働きやすい?

     

    産業保健師の就職先は一般企業ですが、会社の規模によって働き方に違いは当然出てくるかと思います。どちらにもメリットデメリットがあるため、自分の希望にあった職場を見つけることが大切ですね。
     

    大企業とは製造業であれば300人以上、小売業であれば50人以上の従業員がいる会社を指し、この定義に含まれないものが中小企業です。
     

    大企業は従業員数が多く健康保険組合を持っていることから、産業保健師を配置しているところが多くあります。
     

    このことから大企業の方が中小企業よりも求人がたくさんあるのです。
     

    大企業で働くことのメリットはやはり待遇面の良さですよね。福利厚生が整っているので、安心して働き続けられます。
     

    一方で中小企業のメリットは、仕事がしやすいことです。
     

    保健業務の対象となる従業員数が少ないため、一人一人をよく観察しその人に合った対策を検討できます。

    ・教育体制でもこんな違いが

     

    保健師に限った話ではありませんが、大企業は社内の教育制度が整っているので経験が浅くても仕事をすることは可能です。
     

    それに対し中小企業は教育にかける時間も人員も不足しているため、自分から学ぶ姿勢のある人でなければ務まらない仕事だと言えますね。
     

    会社の条件を確認し自分のキャリアや働き方に合った場所で働くことが大切です。

    ②実務経験がない場合でも雇ってもらえる?

     

    看護師から保健師への転職を考えると、
     

    「保健師の経験がないのに、雇ってもらえるのかな……。」
     

    と不安になる方もいると思います。
     

    たしかに教育体制のあまり整っていない企業では即戦力を求めているケースが多いですが、未経験でも採用を行なっている企業もちゃんとあるのです。
     

    そもそも産業保健師は求人が少なく、実務経験を持って転職活動をする人は多くないと言えます。多くの人は未経験であるため、経験不足を心配する必要はないですよ。
     

    実務経験よりも自分が今まで培ってきた経験をその企業にどう活かせるかということが重要です。
     

    たとえば工場や建築現場など事故が発生するリスクの高い企業では、事故やケガに対応できる応急処置のスキルをアピールすると面接官に好印象を持ってもらえます。
     

    産業保健師の経験がないからといって諦めず、自分の持っている知識や技術をどんどん企業に売り込んでいってください。

    ・非常勤として経験を積むことも

     

    企業によっては、保健師の実務経験がある人を採用したいと考えているところもあります。
     

    そのため、看護師の経験しかない方は就職が不利になるケースもあるのです。
     

    このようなことがないように契約社員としてある程度保健師の経験を積むことも必要と言えます。
     

    契約社員の求人は、常勤の産業保健師が産休に入る場合などに出されるケースが多くありますが、
     

  • 期限付きである
  • 待遇面も正社員よりも悪い
  •  

    というようなデメリットがある場合も少なくないです。
     

    ですが実際の企業で働くことは、自分自身のスキルアップを図れる絶好の機会と言えます。
     

    みなさんも産業保健師の実務経験を積むための期間と考えて、契約社員を検討してみてはいかがでしょうか?

    ③年収は看護師よりも高い?

     

    看護師として働いてきた方は、転職することで給料がどう変化するのか気になると思います。
     

    ナースなワタシのお給料によると産業保健師の年収は300万の人もいれば700万近い人もおり、勤務先の企業によってだいぶ金額に差があることがわかるでしょう。
     

    大企業に勤めると仕事が忙しくなる場合もありますが、看護師よりも給料が高くもらえます。
     

    「せっかく産業保健師になるなら、お給料の良い企業に勤めたい!」
     

    という希望がある方は求人をよく確認し、希望の年収に届くような企業で働いてくださいね。

    ・福利厚生も確認することが大事

     

    求人活動を始める際に知っておくべき事項として福利厚生が挙げられますが、それよりも他に大切なことがあると考える人もいるでしょう。
     

    福利厚生が良いということは、会社の利益を社員に還元していることを意味します。労働環境が良いかどうか、社員を大切にしているかどうかの指標にもなるため、転職の際は必ず確認するようにしてくださいね。
     

    病院に勤めているときも家賃手当や退職金などの制度はあったかと思いますが、大企業ではそれ以外に、
     

  • 企業年金
  • 保養所
  • 家族手当
  • 昼食代
  •  

    など様々な各種手当が存在しているのです。
     

    ですが中小企業では大企業ほど福利厚生が充実していないケースもあるため、求人先がどのような条件になっているのかを把握する必要があります。
     

    福利厚生は正社員として働くメリットの1つです。自分の納得いく条件で働くためにも、求人探しは慎重に行うことが重要ですね。

    産業保健師として従業員の健康を守ろう

     

    産業保健師の役割は従業員の健康を守ることであり、働く企業によってそのアプローチ方法に違いがあります。
     

    自分の勤め先の特徴を把握し、そこから推測される事故や危険を予測することが求められており、観察眼を養っていくことが大切です。
     

    産業保健師になることで看護師では習得できないような技術や知識を身につけることができます。みなさんも経験を積んでいくことで、会社にとって欠かせない存在を目指してくださいね。