大企業や警察署など大きな組織の中には、企業内診療所と呼ばれる機関を持つところがあります。
 

実際に診療所がある企業に勤めたことがない人はどんなものか想像しにくいと思いますので、まずは企業内にある学校の保健室のようなものとイメージしてみてください。
 

学校の保健室との大きな違いは医師や薬剤師など医療関係者が常駐していることですが、「薬剤師の求人でそんな募集見たことありません」という人もいるのではないでしょうか?
 

実は企業内診療所の薬剤師の求人はめずらしいうえに、求人があってもすぐに決まってしまうことも少なくありません。
 

今回は企業内診療所の薬剤師について人気の理由や仕事内容など詳しくみていきます。
 

1.企業内診療所とは?

 

企業内診療所とは職員の健康を守り病気の治療や予防するために企業に設置されている機関ですが、企業は診療所を持つのに相当な費用をかけているだけでなく、
 

医師や薬剤師の給与も払うことになりますから、設置している企業のほとんどは必然的に名の知れた大企業になります。
 

中には膨大な費用をかけて診療所を作らなくても、「街中のクリニックにいけばいいのに」という意見もあるかもしれません。
 

ではなぜ企業が診療所を持つのか、その利点を2つのポイントにまとめてみました。
 

①職員の健康がより守れる

 

街中の薬局でも健康維持は可能である一方、企業内に診療期間があるからこそ大きな疾病を予防できた例もあります。
 

仕事が忙しいという理由で多少具合が悪くても病院にかからない人がいますが、 企業内に診療所があると空いた時間で診てもらうことができることから、診察を積極的に受けるきっかけになる場合も少なくありません。
 

軽い症状でも放っておいた結果、重大な病気になってしまうこともあるため、早期に治療できる点は職員にとって大きなメリットになりますね。

・企業診療所なら禁煙の成功例も多い!

 

病気だけでなく禁煙に関しても大きな実績をあげているのが企業内にあるメリットです。
 

普段仕事をしていると禁煙したくても外来に行く暇がなかったり、長期間の通院が必要で途中で諦めてしまったりすることが多い一方、企業内診療所ならその心配がありません。
 

目と鼻の先に診療所があるということは長期治療の負担も軽減してくれますし、実際に企業内診療所を持つ企業では禁煙の成功率が高いというデータもありますよ。
 

なかなかタバコをやめられない人の中にはこの事実を聞いて、診療所がある企業に勤務したいと思った人もいるのではないでしょうか?
 

大企業で働けるのはもちろん、禁煙も出来るなんてまさに願ったり叶ったりの職場です。
 

②企業のイメージアップのため

 

企業内診療所がある会社は「経済的にも余裕がある大企業」というステータスの証明になりますので、企業自体のイメージアップにつながります。
 

大企業で働いている実感は従業員の大きな誇りややる気にもなりますし、今後そのような企業で働きたい新入社員獲得のチャンスにもなると言っても過言ではありません
 

会社を志望する人が多くなるということは、多彩な人材が集まる可能性も高くなりますよね。
 

優秀な社員を得るためのイメージアップとして取り入れるケースがあるのも企業内診療所のポイントです。
 

2.企業内診療所の薬剤師の仕事とは?

 

企業内にあるというだけで普通の診療所ですから、薬剤師の業務内容は基本的に街の調剤薬局やクリニックの薬剤師と同じで、
 

  • 処方箋に基づく調剤業務
  • 監査業務
  • 服薬指導・投薬
  • 医薬品の管理
  •  

    などを行います。
     

    職員の健康維持の目的のもと医療情報の提供などを行っているところもありますが、同じような仕事内容ですので、今までの経験を生かせる点に関してはとても嬉しいですよね。
     

    医療機関から転職をしても問題なく勤務できると安心する人も多いものの、1点だけ注意が必要です。
     

    企業内診療所の薬剤師は常駐している人数がとても少ないため、管理薬剤師のような役割を果たすことも求められますし、それと同時に患者様として来る職員は仕事の合間に来局することから、迅速な調剤薬対応をしなければなりません。
     

    ある程度経験のある薬剤師のほうが向いていると言え、立場上は職員でも患者様であることには変わりないのですので、常に相手の状況を考えて、なるべく早く薬をお渡しできるような技術を習得したり工夫したりすることも医療従事者として押さえておいてください。
     

    3.企業内診療所はなぜ人気なの?

     

    薬剤師の企業内診療所の求人はとても人気ですが、なぜそんなに人気があるのかその理由を次に探ってみます。
     

    ①残業がほとんどない

     

    医療機関で働く薬剤師には残業が付き物で、例えば調剤薬局では門前のクリニックの診療が終わるまで勤務することが通常です。
     

    それに対して企業内診療所は職員だけが患者様ですから、よっぽどのことがない限り残業する必要はありません。
     

    残業が当たり前の薬剤師にとっては、正社員でも残業なしの仕事は非常に魅力的ですし、特に家庭との両立をしたい結婚や出産後の女性薬剤師にはうってつけの職場になりますね。
     

    企業内診療所は「残業なしで調剤ができるレア職場」として高い人気を誇っています。
     

    ②重病の患者様があまりいない

     

    仕事をしている職員が患者様ですので、病院や薬局のような重病人の対応は基本的にはないと考えてください。
     

    重病の患者様の処方箋の内容はとても複雑で対応も難しい場合が多いのは、医療機関で勤務したことのある薬剤師には手に取るように分かると思います。
     

    このような患者様を対応することも薬剤師として非常に重要なことですが、風邪など軽い症状の患者様を対応すれば良いだけというのは、他の職場と比べて格段にストレスが減りますよね。
     

    重病の患者様の対応をせずに済むのも企業内診療所て働く大きなメリットの一つです。
     

    ③忙しくない

     

    患者様が限定されているので、通常の医療機関より忙しくないことも利点です。
     

    患者様が非常に多いクリニックや調剤薬局では常にひっきりなしに対応に追われ、そのせいで患者様に「早くしろ!」と怒鳴られたり、調剤ミスにつながってしまったりすることも少なくありません。
     

    「もう少しゆったり働いて、人間的な仕事ができたら」と願っている薬剤師も意外と多いのではないでしょうか?
     

    企業内診療所の求人はそのような薬剤師にとって非常に働きやすい職場になりますよ。
     

    ④通勤に便利

     

    企業内診療所が設置してある大企業のほとんどは交通の便が良いところにあることが多いため、通勤がしやすいこともメリットです。
     

    車通勤をしなければいけなかったり、駅から遠くバスを使わなければいけなかったりするとそれだけ通勤時間もかかりますし、「通勤の時間を他のことに使えたらいいのに」と感じている人もいると思います。
     

    企業内診療所のある企業に転職できれば、今までよりも自分の時間を有意義に使えるようになるかもしれませんね。
     

    ⑤医療費が会社持ちのところもある

     

    医療費は自己負担するのが一般的な中、企業によっては代わりに払ってくれるところもあります。
     

    診療や薬代などの医療費は決して安いとは言えず、大きな負担になることもありますから、企業がこれを負担してくれるなら利用しない手はありません。
     

    こういったさまざまなメリット・恩恵を受けられる職場ですので、企業内診療所は今でも人気の職場になっているのです。
     

    4.企業内診療所の薬剤師の給与はどのくらい?

     

    企業内診療所の薬剤師の平均年収を調べたところ500万円~550万円でした。
     

    これを安いと見るか高いと見るかは人それぞれですが、先ほど挙げた利点を考えると十分な給与と考える人が多いです。
     

    数々の利点を得ながら、大企業で働いているというステータスに加え、十分な給与をもらえるなんてとても恵まれていますよね。
     

    好待遇な環境だけでなく十分なお給料をもらえることも、余計に企業内診療所の人気を高めている理由と考えられます。
     

    5.企業内診療所の求人はめずらしい!

     

    先ほどご紹介したように企業内診療所は数少ない大企業にだけ設置されているものですし、常駐している薬剤師も数少ないため求人が出ることがとてもめずらしいのが現実です。
     

    基本的に退職者がいなければ求人は出ませんし、ただでさえ人気の高さから数少ない求人に多くの薬剤師が応募しますので、倍率はとんでもなく高くなるのは避けられません。
     

    企業内診療所で働くには、実力や経験だけでなくタイミングや運の要素も必要になってくることを覚えておいてくださいね。
     

    6.企業内診療所への就職活動の仕方

     

    企業内診療所は倍率が高く転職が難しいことが分かってきたと思いますが、どうすれば就職する可能性が高くして狭き門を突破することができるのか考えてみます。
     

    私はやはり転職エージェントに相談することをおすすめしたいです。
     

    転職エージェントは転職のプロフェッショナルですから、一般人がかなわないほど早く求人の情報を察知しますし、企業内診療所に勤務する可能性を高めるにはこのいち早い察知が最重要と言っても過言ではありません。
     

    私が転職活動していた時も、エージェントから企業内診療所の求人をいくつか紹介してもらっていました。
     

    タイミングが必要な求人でエージェントでさえいつでも紹介できるものではありませんが、もし登録時に企業内診療所の求人がなくても諦めずに、今後取り扱うことがあるかどうか、今までどのくらいの人が企業内診療所に転職できたかなど実績を尋ねてみてください。
     

    その際に「企業内診療所で働きたい」という意思をエージェントにアピールしておくと、優先的に紹介してもらえますよ。
     

    今まで培ってきた能力やスキルを生かして

     

    今回は企業内診療所の人気の理由やそこに勤務する薬剤師などについて詳しくみてきました。
     

    企業内診療所で働くことにおいてさまざまな利点があることや、だからこそ人気が高いことが分かったと思います。
     

    勤務している薬剤師の人数が少ないことや診療所が企業内にあるイメージがつきにくいことで、転職に多少の不安はあるかもしれませんが、それと同時に今までにない環境で働くことに新鮮さも感じられるのではないでしょうか?
     

    患者様が従業員のみの特殊な状況であるものの、命を預かっているという薬剤師の責任の重さは一般の医療機関と何も変わりません。
     

    たとえ環境が違っていても、目の前の患者様に貢献しようという思いを忘れずに、今まで培ってきた薬剤師としての能力やスキルを生かして立派に働いてみてくださいね。