散剤や水剤・軟膏などを計量して製剤することを計量調剤と言います。
 

計量調剤は錠剤などの数を数えて調剤するような計数調剤とは異なり、PTPシートに薬品名が書かれているわけでも識別する刻印があるわけでもないので、ダブルチェック時に調剤し終えたものを識別して監査をすることがとても難しいです。
 

もし調剤でミスをしてしまうと監査でもそれを見逃してそのまま患者様の手に渡ってしまいかねません。
 

計量調剤したものをミスなく患者様にお渡しするためには、調剤するときの細心の注意はもちろんのこと、監査担当の薬剤師が監査をしやすいように調剤することがポイントではないでしょうか?
 

今回は計量調剤についての手順や監査しやすくする工夫などをご紹介していきます。
 

1.散剤・課粒剤・ドライシロップ の計量調剤のコツ

 

計量調剤で失敗しないためには具体的にどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?

①力価の計算が必要なときもある

 

調剤を始める前に、力価について押さえておくことが必要です。
 

散剤などの粉薬や水剤の処方箋は一日の薬の服用量が記載されていることが多いので、調剤をするときは、その一日の服用量に日数をかけることで調剤する全体量を計算します。
 

服用量というのは、薬の有効成分に賦形剤という薬を飲みやすくするためのものが合わさった量のことで、その中に有効成分がどのくらい入っているかは医薬品名の横にパーセンテージで表示してあるのが一般的です。
 

しかし処方箋によっては服用量ではなく、一日の有効成分量が書いてあるものがあり、このような場合には成分量から服用量を計算して調剤することが必要になります。
 

これが力価計算です。
 

例えば、
 

「医薬品A 20% 400mg」という処方の400mgというのは成分量です。
 

一日の服用量は20%から計算をして2.0gということになり、処方箋の表示が成分量なのか服用量なのかを判断するのは単位です。
 

mg表示の場合は成分名、g表示の場合は服用量になります。
 

薬剤師は処方箋を受け取った後、速やかに調剤をしないと具合の悪い患者様を待たせてしまうことになりますし、緊急で調剤をしなければいけないこともありますので、力価計算に時間をかけている暇は正直ないです。
 

自分で公式を作っておくなどして計算に慣れておくと良いかもしれません。
 

ときどき看護師などから「服用量を計算してほしい」という依頼がある場合もあるのですが、その時も素早く計算できるととても助かります。
 

②薬品名と調剤量を必ず確認する

 

調剤をする量が分かったら実際に調剤をしていきます。
 

散剤の場合は薬の入ったボトルから薬を取り出し調剤をすることになりますが、大事なのは取り間違えをしないように注意することです。
 

ほとんどの散剤は白い色をしているので、ボトルから取り出してしまうと、間違った薬だったとしても見分けがつかないことも少なくありません。
 

最近は、このようなミスを起こさないようにコンピュータを使うことも多くなりました。
 

ボトルのバーコードを機械に読ませることによって医薬品名が表示されるシステムや、処方箋の内容が電子化されて散剤のコンピュータに表示され、間違ったバーコードを読み込ませるとエラーになり、調剤ができなくなっているようなシステムの薬局や病院もあります。
 

もしこのようなシステムがない薬局でしたら、手に取ったボトルを調剤前にダブルチェックをしてもらってください。
 

「医薬品名と量った全体量をメモして監査に渡すようにする」といった方法でも、監査時にミスを見つけやすくなりますよ。

③実際に量り、分包する

 

ボトルから薬を取り出して電子天秤で必要量を量ります。
 

このとき必要以上の薬を取り出してしまわないように、

目標値に近づいてきたら微調整をして少しずつ取り出すようにするのがポイントです。
 

清潔を保つために、一度取り出した医薬品はボトルに戻さないようにするのが基本で、もし取り出しすぎてしまった場合は、秤量皿に触れていない部分からすくって戻すようにし、ボトルに異物が入らないように気を付けます。
 

複数の薬を混ぜる場合はこの作業を繰り返し、量った薬を乳鉢に入れ、乳棒で均等に混ぜていきくのですが、一種類でも一日用量が少ない場合には、患者様が飲みやすく分包しやすいように乳糖を賦形することもあると覚えておいてくださいね。
 

一通り終わったら、分包機を使って一回の服用量ずつに分包します。

④ゴミが入ってないか確かめよう

 

分包が終わってそこで終了ではありません。
 

分包紙に記載されている患者様の名前が間違っていないか、分包時に異物が混入していないかを確かめることも大切な作業です。
 

この時点で分包紙を含めた薬の全体量と一日量を量っておくとより安心ですよ。
 

確認をしたら調剤は終了ですので、監査の担当の薬剤師に薬を渡してダブルチェックをします。

⑤監査するときのポイント

 

監査のときにチェックする主な項目は、
 

  • 医薬品名
  • 用法用量
  • 一日量
  • 全体量
  • 均等に分包されているか
  • 異物が混入していないか
  •  

    などが挙げられます。
     

    医薬品名や用法用量は、調剤時に記載したレシートやメモで確認をします。
     

    一日量と全体量を量ることも重要です。
     

    このとき、薬品の重さだけでなく分包紙の重さも含めて計算をして天使天秤で量ります。
     

    分包機で分包された薬の量に偏りがある場合もたまにあるので、全体的に均等に撒かれているかをチェックし、それと同時に異物の混入があるかも確認してください。

    2.水剤の計量調剤のコツ

     

    ここまでは散剤等の調剤について解説してきましたが、水剤の軽量調剤を次に見ていきます。

    ①薬品名と調剤料を記載しよう

     

    水剤の調剤も散剤と同じようにボトルの取り間違えに気を付けて、ボトルに書いてある医薬品名や実際に量った量をメモをし、監査時に確認しやすいように工夫をしておくと良いです。
     

    ②実際に量る

     

    水剤を量るときはメートグラスを使うことが多いです。
     

    ボトルの口をメートグラスに付けないようにして水剤を注いでいきますが、メモリは目の高さに合わせて量ってください。
     

    複数の医薬品を混ぜる場合にはこの作業を繰り返し、水剤を入れた容器を上下に動かして均等に混ぜていきます。
     

    一日量が分かりやすいように、単シロップや水を加えてメスアップすることもあり、水剤は他の薬よりも品質が長持ちしないので、患者様へのより詳しい説明が必要になることも少なくありません。

    ③用法のシールを貼る

     

    一通り調剤が終わったら、患者様の名前や医薬品名、用法用量が書かれたシールをボトルに貼り、監査の担当の薬剤師にダブルチェックを頼みます。
     

    ④監査するときのポイント

     

    水剤も監査のしにくい製剤です。
     

    監査のときにチェックする主なポイントは、
     

  • 医薬品名
  • 用法用量
  • 一日量
  • 全体量
  • におい
  •  

    などが挙げられます。
     

    医薬品名や用法用量は散剤の時と同じように調剤時のメモで確認を取ります。
     

    シールには一日の量が記載してありますが、患者様はこのシールを見て服用量を把握するため、記載されている一日の量が正しいかのチェックもとても重要です。
     

    最後に全体量を確認すると同時に色とにおいでもチェックします。
     

    水剤は薬を見分けるために独特な色やにおいのついているものが多いです。
     

    それぞれの薬の色やにおいを覚えておくことによって、監査時に間違った薬が入っていないか見当をつけることができますよ。

    3.軟膏・クリーム剤の計量調剤のコツ

     

    さて、軟膏やクリーム剤の調剤の場合はどのように行っていけば良いのでしょうか?

    ①軟膏を量る

     

    軟膏の調剤も正しい薬の軟膏ツボを手に取るところから始まります。
     

    散剤のようにバーコードで管理しているところはあまりなく、他の職員とのダブルチェックをした後に調剤を始めることが多いです。
     

    ②均一に混ぜる

     

    複数の軟膏やクリーム剤が処方されている場合は軟膏板を使って均一に混ぜる作業をします。
     

    色のついたものを混ぜるときには均一に混ざったかが分かりやすいのですが、例えば白い軟膏どうしを混ぜる場合には均一に混ざったかどうか判断がつきにくいため、十分な回数の混合の作業が必要です。

    ③薬品名のシールを貼る

     

    一通り終わったら軟膏ツボに入れて、患者様に何の薬が入っているかを知らせるため医薬品名が書かれたシールを貼り、中には手書きで書く調剤薬局もあります。

    ④調剤した日を記載する

     

    軟膏ツボに調剤日を記載することも忘れないようにしてください。

    ⑤監査するときのポイント

     

    監査するときの主なポイントは、
     

    • 医薬品名
    • 全体量


     

    などが挙げられます。
     

    医薬品名は軟膏ツボに書いてある名前で確認をし、軟膏ツボの重さを含めて全体量を計算してその値と秤の数値を比べます。
     

    そのときに軟膏がきれいに調剤されているか必ずふたを開けてチェックしてください。
     

    軟膏に色がついている場合は色が合っているかどうかを見ることも必要です。

    4.計量混合加算について

     

    計量混合加算とは、2種類以上の水剤や散剤・軟膏剤などを計量混合して内服薬や頓服薬・外用薬を調剤した場合に加算する点数です。
     

  • 液剤の場合は35点
  • 散剤、課粒剤の場合は45点
  • 軟膏剤の場合は80点

  •  

    が加算されます。
     

    多くの薬局では予製というものを作っていますが、予製とはよく処方される用量で作り置きしておく薬のことです。
     

    門前の病院の医師が頻繁に処方する決まった用量での風邪薬や、皮膚科医がよく処方する軟膏の混合製剤などは、処方箋が来てから作っているとかなりの時間がかかりますので、予製として作っておくと患者様を長い時間待たせずに済むという利点があります。
     

    この予製を使う場合には加算は20%になりますので、
     

  • 液剤は7点
  • 散剤、課粒剤は9点
  • 軟膏剤は16点

  •  

    の加算になります。

    自分が監査する立場に立って調剤することが大切

     

    今回は計量調剤について説明してきました。
     

    とにかく一番大切なのはいかにミスなく患者様に薬をお渡しするかということではないでしょうか?
     

    薬剤師も人間ですから調剤段階で100%ミスをなくすには限界があり、やはり監査の存在が重要になります。
     

    監査担当の薬剤師がダブルチェックしやすいような工夫をいくつかお伝えしてきましたが、他にもやれることはもっとあるかもしれません。
     

    いずれにせよ、監査のしにくい計量調剤だからこそ自分が監査をする立場に立って調剤をすることがとても大事で、それが患者様をミスから守ることにつながるのではないかと思います。