研究所と聞くと「新薬の開発をしているところ」と漠然としたイメージをもっている薬剤師も多いのではないでしょうか?
 

実は衛生研究所は新薬の研究をするところではなく、簡単に言うと検査や調査をすることによって地域住民の公衆衛生を守っている機関です。
 

研究職というのは非常に人気が高い仕事ですし、実験や調査をするのが好きな薬剤師も多いため、衛生研究所で働いてみたいと思う方もみなさんの中にいるかもしれません。
 

実際に衛生研究所に勤務した場合は扱いが公務員になりますから、収入面を見ても安定した立場で研究ができますよ。
 

今回は薬剤師が衛生研究所へ転職するにはどのようにすれば良いのか・具体的な仕事内容などを詳しくみていきます。
 

1.衛生研究所の仕事とは?

 

衛生研究所の主な仕事は、
 

  • 医薬品・食品の衛生検査
  • ウィルス・細菌の検査
  • 研修指導
  • 公衆衛生の情報提供
  •  

    などが挙げられます。
     

    研究所といっても製薬会社や化粧品会社などの化学メーカーの研究所とは違い、新薬や新製品を作るための研究ではなく、実際にあるものの検査や調査を中心にしているというイメージになります。
     

    私たち薬剤師は薬によって患者様を助けることことを常に目指していますし、今まで治療できなかった病気を治せる薬を作り出すことはとても尊い仕事だと思っていますから、
     

    「検査をすることは新薬を生み出す仕事に比べてあまり楽しそうではない。」と思う人もいるかもしれません。
     

    たしかに新たなものを作る仕事はそのクリエイティブさゆえに花形の職業と言われますが、この検査・調査のおかげで、私たちが安全で健康な生活を保つことができている面もあることを忘れないでくださいね。
     

    検査の結果が私たちの健康を守っている例

     

    衛生研究所の仕事の中で割と知られているのは、食中毒菌の検査やインフルエンザ・ノロウィルスなどのウィルス検査、水道水の検査などです。
     

    たとえば新型インフルエンザは病院では判定されず、感染が疑われる場合には衛生研究所に検体が送られ、もし陽性反応が出れば治療がすぐに開始されると同時に感染を広げない対策もしなければなりません。
     

    新型インフルエンザは死者を出す可能性のある危険なウィルスですし、この検査が遅れたせいで患者様の病状が進行してしまったり、他の人に感染してしまったりしたら大変ですよね。
     

    衛生研究所ではこのような技術を検査・調査において最大限に生かすために、医療系の資格を持つ薬剤師や臨床検査技師など、専門的な知識を持つ人たちがお互いの知識を生かしながら日々活躍しています。
     

    自分の知識や技術を使って検査や研究をし、住民の健康や安全を守る仕事にやりがいを感じた方は衛生研究所で働いてみてはどうでしょうか?
     

    2.衛生研究所で働くにはどうしたらいいの?

     

    衛生研究所の職員として採用されるにはまず地方公務員試験を受けて合格することが必要ですが、公務員はただでさえ倍率が高いうえに試験も難しいため、受かるには公務員試験の学校に通うなど人一倍の努力が欠かせません。
     

    研究所と名の付く職場は薬剤師の中でも特に人気のある職種で、就職を目指して大学院に進学する人もいるくらいですから、「たとえ辛くても研究ができるならどんな努力でもする」という人もいると思います。
     

    公務員になっても衛生研究所で働けるとは限らない?

     

    もちろん合格後に100%衛生研究所に配属になるのなら辛い試練を乗り越える意味があるものの、公務員試験に受かったとしても衛生研究所に配属になるかどうか分からない点は注意が必要です。
     

    基本的に県や市で運営している研究所は直接的な求人で職員の募集はせず、地方公務員試験が合格した人の中から配属する人を決める方法を取っています。
     

    せっかく公務員試験に合格しても別のところに配属になってしまったら落胆してしまいますよね。
     

    公務員は人気である一方、試験を受ける時点では配属される部署がどこか分からないこのシステムが、公務員になりたい人を躊躇しさせてしまうこともあります。
     

    衛生研究所での勤務を検討するときには、このような公務員独特のシステムを踏まえ納得したうえで目指してみてください。
     

    3.衛生研究所のお給料ってどのくらい?

     

    衛生研究所の職員は地方公務員の給与形態が適用されるため初任給はだいたい20万円くらいです。
     

    一般の調剤薬局で働く薬剤師の平均初任給である26万円と比べると安めですから「わざわざ大変な思いをして公務員にならなくてもいいのに」という意見もあるかもしれません。
     

    初任給を比べればこのような意見が出て当然なのですが、公務員のお給料の特徴として最初は安くても年齢が上がるにつれてどんどん昇給していくことがありますので、衛生研究所に勤めれば結果的に民間の企業でもらうお給料を超えることも珍しくありませんよ。
     

    薬剤師のスキルと知識を生かして

     

    今回は公務員薬剤師の衛生研究所での仕事について見てきました。
     

    公務員の職種の中にも研究者としての仕事があることや、その職種に就けるかどうかは配属されるまで分からないという公務員ならではのシステムについて理解が深まったのではないでしょうか?
     

    新薬を研究して今まで治せなかった病気を治療してこそ研究者だと考えている人も多いと思いますが、細菌やウィルスなどが起こす感染症を研究し、それを予防するための検査や調査を行うことも生活を守ることにつながります。
     

    希望どおりに就職できるかの保証はありませんが、もし衛生研究所で働くチャンスをもらえたのなら、薬剤師のスキルと知識を地域の人たちのために最大限生かしてみてくださいね。