麻薬取締官と聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか?
 

麻薬を取り締まえるくらいだから、薬にかなり詳しい人じゃなんじゃないかと考える人もいるでしょうし、薬中毒者と接触することから危険な仕事ではないかと思われることもありますが、実際にはよく知らないというのが正直なところだと思います。
 

麻薬取締官は自分の職業についてあまり他人に明かさないので、直接知り合うことはなかなかできません。
 

彼らが一体何者なのかさえ知る機会がほとんどありませんが、薬物汚染から国を守っていきたい人にとって麻薬取締官は非常にやりがいのある仕事になりますよ。
 

今回は麻薬取締官にスポットをあてて仕事内容や役割について詳しくみていきます。
 

1.麻薬取締官の仕事内容とは?

 

麻薬取締官は一言で言うと、違法薬物汚染のない健全な世の中にすることを目標に仕事をしている人で、通称「麻薬Gメン」と呼ばれています。
 

一般的に麻薬Gメンとして紹介されることが多いため、もしかするとこちらの名前の方がなじみ深いかもしれません。
 

主な仕事としては、
 

  • 薬物犯罪の取り締まり
  • 医療用麻薬の検査・助言
  • 麻薬中毒者などへの社会復帰のサポート


 

を行っています。
 

麻薬Gメンというとドキュメンタリー番組やドラマなどをよく見る人には、一番上に記載した「薬物犯罪の取り締まり」の仕事をしているシーンがまず真っ先に思い浮かびますよね。
 

一方で他の2つの仕事は初めて聞く人もいると思いますので、これらも含めて麻薬取締官の務内容について3つのポイントにまとめてみました。
 

①薬物犯罪の取り締まり

 

薬物汚染を広めないためには薬物犯罪を見つけ出して中毒者や違法薬物を取り締まることが必要です。
 

麻薬取締官は麻薬の使用者・所持者や密輸の情報を、一般の情報提供やインターネットなどを駆使してあらゆる方法で見つけ出して捜査にあたります。
 

操作や取り締まりと聞くと、なんだか薬剤師というよりも警察の仕事のように見えますよね。
 

現に麻薬捜査をするときは警察と同じ権限を持ち、拳銃や手錠などを所持することを許されていることや、警察や海上保安庁と協力しながら特別司法警察員として業務にあたることから、警察みたいというのも間違いではありません。
 

麻薬などに関する薬の知識も不可欠になりますので、「薬の知識をもった警察みたいな仕事」というのが実際のところです。
 

②医療用麻薬の検査・助言 

 

調剤に携わっている薬剤師はよく知っていると思いますが、病院の薬剤部や調剤薬局では医療用の麻薬を取り扱っています。
 

本来これはがん疼痛や神経性疼痛などの強い痛みを緩和する目的で処方されるものである一方、もし違法な取引などがあったときは麻薬犯罪に発展してしまいかねません
 

麻薬は保管してある場所が金庫内ということと、残薬数などを厳しく管理していることに加えて、他の薬と同様に間違えなく調剤をして患者様にお渡しするものですから、この麻薬が犯罪に使われることがあるなんて薬剤師には実感が湧かないかもしれませんね。

・医療関係者を薬物犯罪から守る!

 

私の場合は数多くの医療機関で働いてきましたが、麻薬の残薬が合わなかったり紛失してしまったりしたことが一度もなかったため、医療用の麻薬と犯罪を結びつけることに最初は違和感を感じました。
 

「この職場で麻薬犯罪なんて起きるわけがない」というのが本音であるものの、万が一その厳しい管理をかいくぐって不正使用が起きてしまったらと考えると、犯罪につながる危険性も現実味を帯びてきます。
 

医師や薬剤師は麻薬が手の届くところにあることから、中毒者ではなくても犯罪に関わる機会が一般の人よりもどうしても多くなりますよね。
 

麻薬取締官は医療機関や製薬会社を検査・監視したり適正使用を促したりして、一般の犯罪の取り締まりだけでなく医療関係者をも薬物犯罪から守っているのです。
 

③麻薬中毒者などへの社会復帰のサポート 

 

麻薬犯罪を犯してしまった人は、罪を償ったとしても依存症に苦しんだり、再び麻薬に手を出したりしてしまうことがめずらしくありません。
 

麻薬取締官は麻薬中毒者であった人が社会復帰できるように彼ら自身や家族をサポートすることも行っています。
 

サポートや相談に乗るには麻薬や中毒症状についての知識やカウンセリング技術が必須となってきますが、薬剤師は薬の知識に加えカウンセリングもできますから、麻薬取締官になれば今まで培ってきた薬剤師の能力を十分に生かせますよ。
 

2.麻薬取締官になるには?

 

麻薬取締官になるためには厚生労働省の麻薬取締部採用試験に合格して成績優秀者として採用されることが必要です。
 

「この採用試験に受かることさえできれば麻薬取締官になれるの?」と思う人もいるかもしれませんが、実はこの採用試験に応募できる条件というものがあって下記の2つのどちらかをクリアしなければなりません。
 

受験資格は、
 

  • 国家公務員試験の一般職試験に合格すること
  • 29歳以下の薬剤師または薬剤師国家試験の合格見込みの人


 

この2項目で、薬剤師であることが有利なることは一目瞭然ですよね。
 

29歳以下で薬剤師資格を持っている人は、難しいと言われている国家公務員試験を受けなくてもこの採用試験を受験できることになりますから、このチャンスを生かして採用試験をぜひ受けてみたいという人も中にはいるかもしれません。
 

ここで注意しなければならないのは麻薬取締官の定員人数が少ないということで、薬剤師の採用は基本的に欠員が出た時にのみ募集しますので、一般の職種のように毎年行われる試験ではないことは気をつけてください
 

募集を待っているうちに29歳を超えてしまうということも十分考えられるため、なれない場合のプランも立てたうえで麻薬取締官になるかどうか検討してみてはどうでしょうか?
 

採用後はすぐに麻薬取締官になれるの?

 

狭き門を突破して麻薬取締官として採用されても、その後任命されるまでにはさまざまな研修や経験を必要とします。
 

非常に長く厳しい道のりを越えなければいけないためがっかりする人も中にはいると思いますが、麻薬取締官はそれだけ大きな責任と危険が伴う仕事ですから、それ相応のトレーニングが欠かせません。
 

薬剤師免許ではなく国家公務員試験に合格して麻薬取締官になる場合も、法学部を卒業していないと2年の実務経験がさらに必要となることも押さえておいてくださいね。
 

なるべく早く麻薬取締官になりたいという人は、大学受験をする前から入学する学部についても考えておいた方が賢明です。
 

3.麻薬取締官は危険な仕事?

 
麻薬取締官として薬剤師の知識を生かして世の中に貢献したいと思っても、どのくらい危険な仕事なのか一番気になるという薬剤師も多いと思います。 
 

率直に言って、麻薬取締官は危険が伴う仕事です。
 

先ほどご紹介したようにまず彼らには逮捕権があり、拳銃や手錠を現場で使うことがありますので、拳銃の扱い方や逮捕術の訓練なども行いますし、麻薬中毒者は精神状態が通常ではないことから、逮捕の瞬間はかなり緊迫した現場になることも少なくありません
 

時には体を張って対応しなければいけないため、日ごろの厳しい訓練と大きな覚悟が必要な職業ですが、体力に自信があるという人にはやりがいのある仕事になりますよ。
 

麻薬Gメンは身近にいる?

 

危ないのは逮捕の瞬間だけではなく、張り込みなどの捜査時も同じことで、捜査において麻薬取締官は警察には許されていないおとり捜査や潜入捜査が許可されている一方、それだけ犯罪者に接近すること機会も多くなります。
 

よくテレビでおとり捜査をとりあげたドラマをやっていることがありますが、実際に現実にも行われていることに驚いた人も多いのではないでしょうか?
 

中には茶髪や派手な服装をしている人もいますし、本人から麻薬捜査官だと言われなければ、すぐそばいても気づけませんよね。
 

通常公務員は服装や髪型に規定があるものの、麻薬取締官はおとり捜査のためにGメンであると分からないような見た目をしている人が多いのも特徴です。
 

4.麻薬取締官は転勤が多い?

 

公務員は転勤が多いことが特徴として挙げられますが、麻薬取締官も同様で一番の目的はやはり顔を知られないようにすることです。
 

犯罪に関係することが多い暴力団ややくざは同じ地域内で行動する傾向があり、取締官が長年同じ場所で捜査をしていると相手に身分が分かってしまい、それが捜査の失敗の原因になることも珍しくありません。
 

普通に調剤薬局で働いている薬剤師は麻薬取締官のように危険と隣り合わせになることも転勤することもあまりありませんから、その苦労を実際に感じることは正直難しいかもしれませんね。
 

新しい場所に慣れるまで大変な思いをすることが多いものの、これは捜査がうまくいくようにするだけでなく自分の安全を守ることにもつながっています。
 

社会を薬物汚染から守ることは並大抵のことではありませんが、苦労してやり遂げた時の大きな達成感をやりがいにして働きたい方は麻薬取締官を検討してみてはどうでしょうか?
 

5.麻薬取締官になるメリットとは?

 

麻薬取締官になるメリットについて2つのポイントにまとめてみました。
 

①誇りを持てるやりがいのある仕事

 

麻薬取締官になるメリットとして一番に挙げられるのは、社会問題に密接に関わり、世の中を健全なものに導くという大きな役割を果たしているという事実です。
 

今はインターネットが広く普及し、主婦や学生が簡単に違法ドラッグなどの薬物を入手できる時代になったせいで、麻薬の問題は外国の犯罪グループや暴力団といった特別な世界のものではなく、一般の人にも忍び寄るものとなってしまいました。
 

身近なところに薬物犯罪があると思うと本当に恐ろしいですよね。
 

麻薬取締官の仕事は一般の人たちなどへの薬物汚染を防ぐことで麻薬中毒に苦しむ人々を出さないようにするだけでなく、私たちが感じているような恐怖を取り除くことにも繋がっています。
 

これは薬の知識を持っているからといって薬剤師の誰もができる仕事ではありませんので、麻薬取締官になったあかつきにはこの上ないやりがいと誇りを感じるに違いありません
 

②公務員ならではの福利厚生

 

麻薬取締官は公務員のため、退職金など福利厚生や手当などが手厚いことや収入や雇用が安定していることもメリットの一つです。
 

給与は国家公務員の行政職と同じで年齢が上がっていくにつれて昇給していく年功序列制度を採用しており、平均年収は約600万円というデータが出ていました。
 

これは保険薬局の平均である550万円と比べればいくらか良いとはいえ、警察や海上保安庁などの公安職と比べると10%ほど低い計算です。
 

たしかに公務員で安定はしているものの、麻薬取締官の危険度や責任の重さを考えると十分な給与と思えないと感じる人も多いのではないでしょうか?
 

こんな危険な仕事をするなら調剤薬局で調剤していた方がいいという意見ももっともですが、麻薬取締官は仕事にやりがいや誇りを感じることも非常に大切で、実際にそのような人が麻薬取締官として活躍していることも覚えておいてくださいね。
 

能力と正義感を兼ね備えた薬剤師に期待!

 

今回は麻薬取締官の仕事内容やなるために必要な努力・実際の苦労などについて詳しくみてきました。
 

麻薬Gメンと言われたいとか、かっこいいからという志望動機で麻薬取締官を目指す人も中に入ると思いますが、その実態は危険と隣り合わせのまさに激務です。
 

薬物問題は芸能界にも蔓延していてテレビを通して身近な問題として取り上げられることも珍しくありません。
 

麻薬は中毒者の心や体を蝕んでいきますし、その家族や関係のない人をも傷つける恐れのあると考えるととても怖いものですよね。
 

これ以上薬物汚染の問題がより大きくならないように、能力と正義感を兼ね備えた薬剤師の方はぜひ麻薬取締官を目指してみてください