医薬情報担当者は一般的にMR(Medical Representative)と呼ばれています。
 

彼らは頻繁に医療機関に訪問して仕事をしているため、薬局や病院で働いている薬剤師は実際にお目にかかる機会がとても多いですよね。
 

特に病院では、医局や薬剤部長室の前にスーツ姿で並んでいる大勢のMRを見るということも日常的だと思います。
 

ところでMRと聞くと、製薬会社の営業で激務というイメージが強いのではないでしょうか。
 

またお給料が良いというイメージを持っている人もいると思います。
 

このページではMRについてもっと知るために実際にどのような仕事をしているのか、またMRとして成長するためにどんな努力をしているのかなどを中心に見ていこうと思います。
 

1.MRの仕事内容はとても多い

 

MRの仕事は営業だけではありません。実際にどのような業務をしているのでしょうか。
 

①自社製品をアピールする

 

医療機関に勤務している医師や薬剤師に自社製品の効果や副作用を情報提供すると同時に、他社製品よりも優れているところをアピールします。
 

MRの仕事内容の中で最も知られている業務です。
 

営業的な仕事なのは確かなのですが、アピールしているものが患者様の命に関わっている医薬品ですから、ただ製品の良さのアピールをするだけではなく、副作用などのマイナス面ももきちんと説明することも大切になります。
 

そのため、一般の企業の営業職とは少し違う印象を受けるかもしれませんね。
 

製品を説明するためにはまず、医療スタッフに説明する時間を取ってもらわなければいけませんので、医療機関のスケジュールを把握するなどしてタイミングをとることもとても大切です。
 

また、自社製品に興味を持てもらい、それを実際に使ってもらうには、医療スタッフとの信頼関係も不可欠と言えます。
 

②新製品を紹介する

 

病院の薬剤部や薬局では定期的に新製品についての勉強会を開きますよね。
 

この勉強会でパワーポイントやパンフレットなどを使って説明をしているのがMRです。
 

医療スタッフに新薬のメカニズムや効能、副作用などを分かりやすく説明をしなければなりませんので、プレゼンテーション能力が非常に重要になります。
 

プレゼンテーションが終わると医療スタッフからの質問タイムが始まります。
 

現場で実際に働くスタッフからの質問は患者様の声が反映されていることも多く、予想外の内容を聞かれることもあるため、製品について詳しくリサーチしておくことも必要です。
 

最近ではプレゼンテーションを始める前に、2,3分だけ自身の出身大学や趣味などを紹介するMRも多くみられます。
 

医療スタッフに親近感や信頼感を持ってもらい、良好な関係を築くための努力の一つと言えますね。
 

そして勉強会において医療機関とのスケジュールと調整をするのもMRの仕事の一つです。
 

余談ですが、ほとんどの勉強会は勤務時間後に行われるためお弁当などスタッフの食事の用意をすることも多いです。このときどのお弁当を選ぶのかもMRに一任されています。
 

③問い合わせに答える

 

製品についての問い合わせは勉強会においてだけとは限りません。
 

医療スタッフは実際に勤務している最中に疑問を持つことが多いため、MRはそれらの質問にその都度正確に答える必要があります。
 

また、迅速な回答を求めることも多いので、日頃からデータや知識、情報などを整理しておかなければなりません。
 

調べなければいけない場合には、きちんとその旨をスタッフに伝えて速やかにリサーチをする能力も問われます。
 

③市販後調査(PMS)をする

 

市販後調査(PMS)というのもを聞いたことがあるでしょうか。
 

治験を経て承認された新薬が実際に発売されると、大多数の患者様がその薬を使用することになります。
 

治験では、併用薬など多くの条件に合致している人数の限られた患者様を対象としていましたが、市販された後は年齢や性別、また併用している薬も様々な患者様がその薬を使うため、治験段階では知り得なかった効果や副作用が発生することもあるわけです。
 

これを調査するのが市販後調査というもので、MRはこの市販後調査の担当をすることがあります。
 

市販後調査対象の医療機関と医師を選び、症例報告書の記入をお願いして記入後にそれらを回収します。
 

調査に必要な人数は一人の医師に対して、少なければ5人程度なのですが多ければ100人単位ということもありますし、症例報告書には副作用だけではなく患者様が併用している薬や服用期間など様々な項目がありますので、これらを業務の合間に記入するだけでも医療スタッフにとっては大変な作業です。
 

また、症例報告書は紙媒体だけでなく電子媒体であることも多いので、使い方の説明などMRの定期的なフォローが必要と言えます。
 

③情報をまとめて医療機関に報告する

 

MRは市販後調査を含め、実際に使った医薬品の安全性や有効性について現場の医療スタッフから情報を集める仕事をしています。そして集めた情報を自社に持ち帰って報告し、その結果をまとめるということも重要な仕事の一つです。
 

まとめた結果は実際の現場で役立つように医療機関にフィードバックします。
 

実際にMRがデータをまとめた資料を見たことがあるという薬剤師も多いのではないかと思います。
 

2.一人前のMRになるにはどうしたらいいの?

 

①MRに資格は必要?

 

MRになるために必須の資格というのは実はありません。薬剤師免許や、薬学部の卒業証明がなくてもMRの仕事はできるのです。
 

薬に関する仕事なのでほとんどのMRは薬剤師なのでは?と思う人も多いと思いますが、実際に活躍しているMRの多くは薬剤師ではありません。
 

データによると薬剤師の割合は1割程度となっています。
 

②MR認定証って何ですか?

 

資格は必要ないのですが、多くの製薬会社で働くMRは「MR認定証」というのを保有して働いています。
 

MR認定証を取得していないと一人前とは認めてもらえないと言っても過言ではありません。
 

「MRになりたい人は入社前にMR認定証をまず取得しておいたほうがいいの?」と思った方もいますよね。
 

MR認定証は、入社前に取得するものではなく、入社後に6か月間の基礎教育を受け、MR認定センターが実施しているMR認定試験に合格し、その後6か月間の実務を行うと交付されるものです。
 

MR認定試験は、医薬品情報、疾病と治療、医薬概論の3科目からなります。
 

医師、歯科医師、薬剤師は医薬品情報と疾病と治療は免除されますので薬剤師の免許があれば医薬概論のみを受ければよいということですね。
 

試験の合格率は約80%ですので、まじめに勉強していれば合格できるレベルで難易度はそれほど高くないと言えると思います。
 

ちなみにMR認定証の有効期限は5年です。更新するには継続して教育を受けていることが条件です。
 

③一人前のMRになるための教育とは?

 

MRとして入社したとしても、最初は右も左も分からない状態でとても不安ですよね。
 

でも心配はいりません。多くの製薬会社はMRが新入社員として入社するとまず、MR育成プログラムとして一人前に働けるようになるために教育をしています。
 

その育成プログラムの項目の一つにMR認定証を取得するためのスケジュールも組まれていて、だいたい1年で取得できるようになっているのです。
 

新入社員たちはこのプログラムにおいて講義や合宿、現場研修などさまざまな教育環境を与えられ、薬に関する知識や自社製品について学んだり、社会人としてのマナーやコミュニケーションについても訓練されます。
 

このように、MR業務には欠かせないスキルを少しずつ身に付けて一人前に成長していくのです。
 

3.時間が不規則で体力がいる仕事

 

MRは激務で家族と過ごす時間もあまりないというイメージがある人も多いのではないでしょうか。
 

確かに時間が不規則で拘束時間も長く大変な仕事と言えると思います。
 

医療機関を定期的に訪問していますから会社との移動時間が長いことがまず考えられますよね。
 

また、先ほど医師や薬剤師に自社製品について説明をするとご紹介しましたが、医療スタッフたちも自分自身の仕事を抱えているため、説明を聞く時間が限られてしまうというのが現実で、スケジュール調整をすることに時間がかかってしまうこともあります。
 

医療スタッフの都合や他社のMRとの兼ね合いで、説明する時間がとれなかったりすることもよくありますし、時間がとれたとしても長い待ち時間を要することも頻繁にあるのです。
 

製品情報の説明とは別に、医療スタッフとの良好な関係を築くための時間も重要です。
 

自社製品をアピールするためにはまず信頼関係を確立することが不可欠なため、様々な工夫や努力をしているMRも少なくありません。
 

このような環境の中で医薬品のデータをまとめあげたり、情報を常にアップデートしなければならないのですから知識だけでなく体力も必要の仕事と言えるでしょう。
 

さらに、MRは転勤を命じられることも多く、家族で引っ越しをしたり、単身赴任をしたりということもあります。
 

MRの多くは男性が多いのですが、その理由は家庭との両立が難しく女性が続けていくには難しい仕事ということも考えられると思います。
 

4.MRのお給料って本当に高いの?

 

「MRはお給料が良い」というのは薬剤師の中では有名な話ですよね。
 

実際に平均年収が650万円から700万円と言われていますから、薬局や病院で働いている薬剤師と比べるとかなり高い印象です。
 

また、経験を重ねて行くことで実力が上がり、1000万円以上の年収を稼ぐMRもいます。
 

激務で拘束時間も長いMRですが、年収は一般的に高く、頑張りがいがあると思っているMRが沢山いるのです。
 

5.MRに転職するには

 

きつい仕事と言われながらも、やりがいが多いとされるのがMRの仕事です。
 

ではMRとして転職をするにはどうしたらよいのでしょうか。
 

おすすめはやはり転職エージェントへの登録です。
 

効率的に求人を探せるだけでなく、面接の攻略や履歴書の書き方の相談に乗ってくれるエージェントもいます。
 

面接や履歴書などは医療機関よりも企業の方が厳しいことも多いので、ぜひ参考にしてみてください。
 

また、本人がしづらい年収の交渉などを代わりにしてくれるという点も利用する価値があると言えますよね。
 

患者様に貢献する仕事をするということ

 

ここまで、MRについてお伝えしてきました。
 

激務で厳しい仕事と言われながらも、給与の面ややりがいなどのメリットも少し見えてきたと思います。
 

MRの仕事は医師や薬剤師など医療スタッフとの関わりはあっても、患者様と直接関わることはまずありません。
 

患者様から見えないところで仕事をしているので、医療機関の薬剤師とは違って直接お礼を言われることもなく、患者様のために働いている実感がなかなか持てないという人も正直多いのではないかと思います。
 

ですが、MRの情報提供などの仕事の全ては結果的に患者様への貢献につながっているのです。
 

その事実を頭に入れて仕事をすることによってより大きなやりがいを見出せるかもしれません。
 

患者様のために働きたいと思う方はMRへの転職も考えてみてくださいね。