新薬の開発にはさまざまな職業の人が携わっている中、QCと呼ばれる人が行う「品質管理」も大切な業務です。
 

品質管理と聞くと、何かの品質を保持する仕事だというのは想像できると思いますが、実際に治験においてQCが何の品質管理をしているのか、何のために管理しているのかは分からないという人も多いのではないでしょうか?
 

この職種はCRAなどと違って医療機関に出向くこともありませんし、あまり目立たないせいか薬剤師でもなかなか聞く機会はないかもしれませんね。
 

今回は品質管理(QC)の仕事についてその内容やその役割、QCになるためにはどうしたらいいかなどを詳しくみていきます。
 

1.QCの仕事内容とは?

 

QCは「Quality Control」の略でCRO(受託臨床試験機関)やSMO(治験施設支援機関)などの企業に勤務して、治験が適正に行われるための品質管理や品質保持をしています。
 

具体的にはMW(メディカルライティング)が作成したプロトコール(治験実施計画書)やGCP(治験実施基準)などをチェックしたり、
 

CRA(臨床開発モニター)が回収した症例報告書にのデータが適正なものかどうか評価したりしてDM(データマネージメント)に渡す仕事です。
 

もしかしたら「書類やデータのチェックをする仕事だけのために、専門の部門をわざわざ作らなくてもいいのでは?」 という意見もあるかもしれません。
 

行なった仕事が合っているかどうかのチェックは別の部署に頼んだ方が間違いが見つかりやすいことから、QCという専門の業種は不可欠と言っていいほどで、薬剤師の場合も、調剤が合っているかどうかのチェックは調剤した人ではなく別の人に頼みますよね。
 

これは調剤の正確度を上げて質の良い調剤をする目的で行われていますが、同じことがQCにも言え、QCがいなければ治験が適正に行われない恐れがありますし、間違ったデータをもとに新薬が開発されてしまいかねないため、それだけQCの役割は重要なのです。
 

2.QCの年収はいくらですか?

 

QCの平均年収は450万円~600万円です。
 

調剤薬局に勤務する薬剤師とさほど変わらないものの、医療機関と違って企業は実力主義のところが多いため、スキルアップをすれば昇給も期待できます。
 

会社によっては薬剤師手当がつくこともありますので、結果的に調剤薬局よりも高いお給料をもらえる可能性もありますよ。
 

3.結婚後も働きやすい

 

QCは比較的女性が多い職種で、彼らが勤務している会社のほとんどが
 

  • 土日がお休み
  • 残業がほとんどない
  • パートや派遣で活躍している人もいる


 

などの特徴があることから女性が働きやすい理由の一つになっています。
 

時間に余裕があると、家庭との両立がしやすく結婚後も勤務しやすいですし、時間的に無理なく働いて活躍できるので、QCは女性にとっては理想の職種と言っても過言ではありません。
 

薬剤の知識を活かしつつ家庭も両立させたい方は、QCがピッタリかもしれませんね。
 

4.QCになるにはどうすれば良いですか?

 

QCは治験が適正に行われているのか評価する仕事で、治験全体について熟知していることが求められるため、治験の知識があまりない未経験の人がはじめからQCとして就職することは難しい場合が多いです。
 

それでは未経験の人がQCになるにはどのようにすればよいのでしょうか?
 

実はQCの多くの人は以前CRAやDMとして勤務してきた人ですので、まずこれらの職種で治験に携わりながら臨床試験全体を学ぶことがQCへの近道になります。
 

こう聞くと、すぐにQCに転職したいと考えていた人にとってはちょっと残念ですよね。
 

たしかにQCとして働けるようになるまで努力が求められることが多いものの、それだけ経験が必要で、誰でも出来る仕事ではないということ他なりません。
 

求人に未経験不可の文字があってもQCになれる可能性がゼロなわけではありませんし、達成するための道はあるということですから、時間がかかるかもしれませんが諦めないでないでください。
 

QCになるのに必要な素質とは?

 

QCになるために必要なことの1つは、先ほどご紹介したように治験全体を熟知しているということですが、他にも必要な素質が2つほどあります。

・細心の注意とともに仕事ができること

 

書類やデータの適正を評価するためには慎重にかつ丁寧に仕事が出来ることが必須となります。
 

すぐに気が散ってしまう人や細かい作業にイライラしてしまう人は、適正でない書類やデータを見逃してしまいかねません
 

アバウトな感覚で治験の品質保持をこなしていくのはほぼ不可能ですから、QCは常に神経を使って集中できる人にこそ適任の仕事です、

・他の職種とのコミュニケーション能力

 

QCは書類を黙々と読んでるイメージをしている人もいると思いますが、コミュニケーション能力も欠かせません。
 

ここて一度、彼らの仕事内容を振り返ってみてください。
 

QCはCRAが回収した症例報告書のデータを検証してDMに渡したり、MWが作成したプロトコールをチェックしたりするのが仕事でしたよね。
 

作業のプロセスでは常に他部署と連携して仕事をしていますので、他の職種の人たちといかに上手くやっていけるかがカギになってきます。
 

つまりQCの仕事をスムーズに行うためには、ある程度のコミュニケーション能力が必要不可欠なのです。
 

5.QCへの転職

 

今からQCへの転職を考えている人はまず転職エージェントに登録して、未経験で応募できる求人や、将来的にQCになれる確率が高い職種の募集がないか聞くのが最優先です。
 

QCの求人はハローワークなど一般の求人サイトで見つけることは難しい傾向がありますが、転職エージェントには非公開求人もありますし、その中からQCになれる道を探し出してくれるケースも珍しくありません。
 

活動中は履歴書の書き方や面接対策などもしてくれますので、特に企業への就職を希望する方は転職エージェントを活用してみてはどうでしょうか?
 

薬剤師の資格が転職を有利にする?

 

QCへの転職は治験に携わったことのある人のほうが絶対的に有利だと言いましたが、実は未経験でも薬剤師の資格があると採用してもらいやすいことがあります。
 

大学で治験について学んでいた経験や、医薬品についての知識が豊富なことを評価してくれる会社もあるので、これは薬剤師にとっては大きなチャンスと言っていいかもしれません。
 

いままで未経験だからといってQCを諦めていた人も、薬剤師の資格を持っていれば積極的に求人を探していけますね。
 

薬剤師として積み重ねてきた経験や知識を大いに生かせるということは、全く初めてのことを始めるストレスがかからない分とても恵まれている面もあります。
 

転職エージェントには、薬剤師の資格を生かして働きたい旨や志望動機などもよく話したうえで転職活動を進めていくのがポイントです。
 

やりがいと誇りを感じられる仕事

 

今回はQCの仕事内容や年収・転職事情について詳しく見てきました。
 

すでに作成されたものをチェックしたり間違えを見つけたりする仕事というのは、やりがいを感じる人とそうでない人がハッキリ分かれます。
 

調剤に携わる薬剤師が医師の処方箋をチェックするのと同じように、QCの業務もミスを見つける地味な作業になりやすいせいか、つまらないと思ってしまう人も少なくありません
 

しかしこのチェックがあってこそ質の良い治験が進められ、正しいデータのもと新薬が開発されるのですから、QCの仕事はなくてはならないものです。
 

たとえ単調であっても治験の品質を守る仕事をしていきたいという人は、QCとして働けばきっと活躍できますよ。