食品衛生管理者は、毒物劇物取扱責任者などと同じように薬剤師国家試験に合格すると同時に取得できる資格です。
 

その名のとおり食品の衛生を管理するのが仕事ですが、

具体的にどのような食品を管理するのかと聞かれてもピンとこない人も多いと思います。
 

資格を取ることで求人探しで有利になり、職場での待遇が少しでもよくなるなら、取っておきたいですよね。
 

キャリアアップを目的としてこの資格を目指す人もたくさんいますが、収入アップや転職などに役立つのか、疑問に思っているのが実際のところではないでしょうか?
 

今回は食品衛生管理者の業務内容や、薬剤師免許とのダブルライセンスのメリットなどについてお伝えしていきます。
 

1.食品衛生管理者とは?

 

製造や加工の過程で、衛生上での考慮が必要な食品や添加物を製造や加工する施設は、これらを衛生的に管理させるために食品衛生管理者を施設ごとに専任で置くことが義務付けられています。
 

食品衛生管理者は、食品の製造工場や加工業者などにおいて食品衛生を管理するための人の国家資格です。
 

国家資格というステータスに魅力を感じる方もいるかもしれませんね。
 

食品の製造、加工の営業者が施設にこの管理者を新たに置いたときは15日以内に都道府県知事に届け出をする必要があります。
 

2.食品衛生管理者って誰がどうやってなるものですか?

 

さて、資格取得には何が必要なのでしょうか?

①食品衛生管理者になれる人の条件

 

実はこの資格には、直接の免許証や証明書などはありません。
 

次にあげる4つの条件のうちのどれかに当てはまる人が、工場や加工業者などの施設において食品衛生管理者として選任された後、登録申請することによって認められる資格です。
 

  • 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
  •  

  • 学校教育法に基づく大学、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学の課程を修めて卒業した者
  •  

  • 都道府県知事の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設において所定の課程を修了した者
  •  

  • 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校若しくは旧中等学校令に基づく中等学校を卒業した者又は厚生労働省令の定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業又は加工業において食品又は添加物の製造又は加工の衛生管理の業務に3年以上従事し、かつ、都道府県知事の登録を受けた講習会の課程を修了した者
  •  

    引用先:厚生労働省 食品衛生管理者について

     

    上記のいずれかに当てはまった人が食品衛生管理者になれるということです。
     

    ・資格取得の難易度

     

    実際にすでに保有している資格や単位が証明になることも多く、実務経験を得て講習会を修了すれば得られる資格ですから、試験を受ける必要はありません。
     

    難易度は比較的低いと言えます。
     

    ②都道府県知事が定める講習会って?

     

    食品衛生管理者に該当する人の条件の一つに、講習会を修了するという項目があります。
     

    この登録講習会は一般共通科目と添加物関係科目からなっていて、両方の科目の受講が必要です。
     

    一般共通科目を受講する期間は約一か月で、公衆衛生や化学・食中毒などについて学び、
    添加物関係科目を受講する期間は約二週間で、添加物の分析や鑑定などについて学びます。
     

    受講料は約30万円です。
     

    詳しくは、「食品衛生管理者の登録講習会」の開催のご案内を確認してください。

    3.食品衛生管理者はどんな会社で働いているの?

     

    食品衛生管理者が勤務する主な職場は、
     

    • 乳製品の加工食品
    • ハムやソーセージなどの食肉加工食品
    • マーガリンなど、食用油脂の加工食品
    • 放射線照射食品


     

    などの製造加工施設が例として挙げられます。

    4.食品衛生管理者の業務内容とは?

     

    食品衛生管理者の業務内容は主に品質管理ですが、最大の目的は「食中毒の防止」です。
     

    もし不十分な衛生管理によって食中毒が発生してしまったら、会社は信頼を失い、経済的にも大きな損失を招くのは想像に難くないのではないでしょうか?
     

    一番恐ろしいのは、食中毒によって多くの人を命の危険にさらしてしまうということです。
     

    食中毒が原因で亡くなってしまう人も実際にいます。
     

    食品衛生管理者の勤務が必要な施設は、主に大きな食品工場や加工業者ですから、そこで食中毒菌が発生してしまうと被害は全国レベルにまで広がりかねません。
     

    食品の衛生を管理する仕事というのはそれほど重要で大きな責任が伴うものなのです。
     

    職場の管理や従業員の教育も行うことで、よりしっかりとした衛生管理ができるよう心掛けていることも見過ごせません。
     

    万が一食中毒が発生した場合には、被害が拡大しないように迅速に保健所に連絡し対応するというのも仕事の一つです。

    5.業務をきちんと行うための勉強も必要

     

    例えば自分が食品衛生管理者に選任をされたとしても、実際に何をしたらよいのか・何から始めればよいのか疑問に感じることも多いと思います。
     

    業務を行うにはまず勉強することが必要です。
     

    資格取得に試験はないため、「試験勉強は必要ない」と安心する人もいるのですが、結局は勉強せざるを得なくなると考えておいてください。
     

    食品衛生管理者は施設で一人しかいませんので、何をするべきか分からないなどというときは、責任をもって調べて自分で学ぶことが原則です。
     

    勉強法についてですが、専門書などを買って学ぶ人が多く、

    書店には食品衛生管理について書かれた専門書やマニュアルが多く出版されています。
     

    それぞれの業種に合った専門書で学べば、必要な知識を得てから業務にあたれますし、分からないところが出てきたときもそれで調べることができますよ。
     

    本だけではそれぞれの都道府県で規制されたものなど調べられないこともありますので、保健所に問い合わせをして指導を受けることも重要です。

    6.間違えやすいから注意!食品衛生責任者とは違う資格です

     

    ところで、食品衛生責任者という資格を聞いたことがありますか?
     

    名前が「食品衛生管理者」とよく似ていて間違いやすく、この2つの資格はどちらも食中毒の防止を最大の目的としていますが、まったく別の資格になります。
     

    食品衛生管理者が厚生労働省が管轄している国家資格なのに対し、

    食品衛生責任者は各都道府県が管轄している公的資格です。
     

    食品衛生管理者を選任している施設以外で、食品を取り扱っている全ての施設はこの食品衛生責任者を一人専任で置かなければなりません。
     

    カフェやレストランに行ったときに、食品衛生責任者の名前が書いてある札が貼ってあるのを見たことがある人も多いと思いますが、飲食店や食品販売店をオープンしたいときは必ず食品衛生責任者が必要なのです。
     

    ちなみにこの資格は講習を受けることで取得できますが、
     

    • 食品衛生管理者
    • 薬剤師
    • 医師
    • 栄養士
    • 調理師


     

    などの資格を保有している人は、講習を受けることなく取得できます。
     

    食品衛生管理者は食品衛生責任者にもなれるということですが、その逆はできないということも覚えておいてください。

    7.食品衛生管理者の年収は?

     

    食品衛生管理者は勤務先がさまざまですので、給与も職場や業務内容によって大きく違います。
     

    求人を見ると300万円から700万円の年収を提示している企業が多いですので、やはり幅広いですね。
     

    平均年収のデータはありませんが、資格に対する手当がつくのが一般的です。
     

    8.食品衛生管理者の就職について

     

    求人広告の中には「食品衛生管理者の資格保持者」というのが条件に記載されていることもあり、「食品衛生管理者優遇」といったものもあります。
     

    就職先によっては資格を保有していることで有利になるということですよね。
     

    9.薬剤師のダブルライセンスで働こう

     

    先ほどご紹介したように、薬剤師免許があれば食品衛生管理者になることができます。
     

    では、薬剤師がこの資格を活用するのにはどんなメリットがあるのでしょうか?
     

    薬剤師の勤務先というと、病院や調剤薬局で調剤をしているというのが一般的なイメージだと思いますが、実は薬剤師の就職先のジャンルの幅はとても広いのです。
     

    医療関係ではなく企業を就職先として選択する薬剤師もおり、化粧品関係や食品関係などでも多くの薬剤師が活躍しています。
     

    食品衛生管理者の資格を食品業界で活用できれば、仕事や転職の幅が広がると思いませんか?
     

    実際に薬剤師とのダブルライセンスで採用をしたいという企業の求人も見受けられます。
     

    企業に勤務をすることで調剤業務以外の仕事に携われますし、土日がお休みというところも多いので、医療機関に勤務するのとは違う新鮮さを得られるというメリットも考えられますね。
     

    2つの資格に対する手当がつく可能性も高いです。
     

    10.食品関係の企業への転職の方法は?

     

    薬剤師免許と食品衛生管理者のダブルライセンスでの転職を考えている場合には、

    どのように転職活動をしたらよいか疑問に思っている人もいると思います。
     

    薬剤師専門の転職エージェントは主に医療関係の求人を取り扱っていると思われがちなのですが、実は今回のようなケースを相談することも可能です。
     

    彼らは転職のプロですので、いろいろなケースを想定し薬剤師の選択の幅が広がるようにさまざまな求人を取り扱っており、希望の求人がすぐに見つかることも珍しくありません。
     

    「調剤業務ではない仕事がしてみたい」ですとか、「食品衛生管理者の資格を生かしてみたい」などといった希望がある人は、その旨をエージェントに話してみてください。
     

    全国民を食中毒から守る仕事

     

    今回は食品衛生管理者の資格についてお話ししました。
     

    資格取得の難易度はあまり高くないとお伝えしましたが、責任がとても重い仕事であるということは分かったと思います。
     

    食の安全を管理するために全国民を食中毒から守る仕事ですから、そのためのさまざまな工夫も必要になり、そこにやりがいを感じる人も少なくありません。
     

    食品は医薬品と同じく人の口に入るものなので、管理もそれだけ厳しくなります。
     

    だからこそ、食品衛生管理者という存在が必要なのです。
     

    この仕事に興味を持ったという人はぜひ挑戦してみてください。