医療系の仕事をしている人はコミュニケーション能力が必要とよく言われます。
 

この能力が患者様とのやり取りで役立つものだと分かっていても、実際どれくらい必要なのか答えられる人は少ないのではないでしょうか?
 

多くの薬剤師は仕事をしていくうちに自然と身に付けていくものですが、自分の今の接し方で良いのか不安に感じている人もいると思います。
 

今後も薬剤師として働いていくうえで、少しでも患者様と上手にやり取りできるようになっていければ嬉しいですよね。
 

今回は、薬剤師のコミュニケーション能力についてその必要性とスキルを高めるためのヒントを考えていきます。
 

1.なぜコミュニケーション能力が必要なの?

 

薬剤師の仕事をするうえでコミュニケーション能力が必要な主な理由として、
 

  • 副作用を防ぐきっかけになるから
  • 病状をよくする可能性があるから
  • コミュニケーションが難しい患者様もいるから
  • 病気を患っている患者様は人の気持ちに敏感だから

 

の4点が挙げられます。
 

どれも患者様にとって欠かせない項目になっていることに注目です。

①副作用を防ぐきっかけになるから

 

患者様の症状を把握することができれば副作用の前兆などを見つけることも期待でき、不快な症状を防げたり、これ以上悪化させないようするために医師と相談したりすることが可能になる一方、この「症状の把握」がとても難しいことがあります。
 

副作用の症状がすべて目に見えるものなら問題はないですが、患者様からの話を聞かないことには分からない症状が実際多いです。
 

自分の病状のことはあまり人に言いたくないことが根底にあるせいか、医師には話しても薬剤師には言いたくないという患者様も少なくありませんので、患者様の話が聞けず情報を得るのに毎回苦労している薬剤師も多いのではないでしょうか?
 

そこで情報をスムーズに得るために力を発揮するのがコミュニケーションスキルです。
 

コミュニケーションスキルというのは患者様が話しやすい雰囲気づくりにも繋がりますので、患者様の症状などを聞き出す大きなきっかけを作り出すことができます。
 

スムーズに話ができる相手には安心して相談してみようという気になりますよね。
 

患者様に安心感を与えてちょっとした体の変化でも話してみよう思わせる技術は、大きな副作用を防ぐことにもつながっているのです。

②病状をよくする可能性があるから

 

コミュニケーションをとることによって気持ちが落ち着いた経験は誰にでもあると思いますが、信頼できる薬剤師に話をすることによって癒され、治療に前向きになるのもめずらしいことではありません。
 

たとえば元気のない患者様が自分の気持ちを薬剤師に話し、
 

「医者には話せなかったけれど、ここで話を聞いてもらって気持ちが楽になりました。病院のカウンセリングよりも効果的でした。」
 

と言って明るく帰られたことが実際にあります。
 

これはコミュニケーションで患者様の心を開いた結果、症状を良くするきっかけを作ることができた良い例です。
 

薬剤師の接し方によっては患者様の気持ちまで楽にしてあげられるケースもあるので、コミュニケーション能力がいかに必要かがわかりますね。
 

患者様が前向きに治療に取り組めるようになるためにも、日々のやり取りを一度見直してみるのもいいかもしれません。

③コミュニケーションが難しい患者様もいるから

 

精神科に通っている患者様や大きな病気を抱えている患者様の中には会話することさえ辛く、誰とも話したくないという人もいます。
 

薬を安全に服用してもらうためには最低限のコミュニケーションが必要ですが、話をしたくないと思っている患者様に、薬剤師の都合で無理やり話を聞いてしまうと病状を悪化させてしまうおそれもあり注意が必要です。
 

実際にやり取りしていくなかで、どうしたら患者様が心を開いてくれるんだろうと悩んだことのある薬剤師もいるのではないでしょうか?
 

このような場合には、患者様自身が話したくなるような話し方や、相手の気持ちを察して不快にさせない話し方をしなければなりませんので、かなり高度なコミュニケーションスキルが欠かせません。
 

患者様を傷つけないような配慮も重要なことからある程度の人生経験も求められています。

④病気を患っている患者様は人の気持ちに敏感だから

 

健康な患者様に比べて病気を患っている患者様は人の気持ちに敏感なため、たとえば仕事だからといって表面的にやさしい人を演じていたり、心の中で「かわいそう」と思っていたりする人の心をすぐに見抜いてしまいます。
 

これは多くの人に共通をしている事実ですのでぜひ覚えておいてもらいたいことです。
 

患者様の立場に立って考えると、そのような薬剤師には話す気にもなれませんよね。
 

コミュニケーション能力は話し方が上手なことと同じ意味に捉えられがちですが、人間的に成長して、裏表なく患者様に接する技術を磨いていくことがとても大事です。
 

2.苦手なコミュニケーションスキルを高めるヒント

 

コミュニケーション能力が大切な理由は分かってきたと思いますが、薬剤師の中にはコミュニケーションが苦手だという人もや、これからもっとスキルを高めたいと思っている人も多いかもしれません。
 

具体的にどのようにすれば患者さんともっと上手に接していけるようになるのか、コミュニケーションスキルを高めるための7つのヒントを次に紹介していきます。

①話すよりも聞き上手になろう

 

コミュニケーションをするに当たって一番心掛けるべきは話し上手ではなく「聞き上手」になることです。
 

「話すのが苦手なんです」という薬剤師も中にはいると思いますが、だからといってコミュニケーション能力が低いのかというとそうではないので大丈夫です。
 

いくら上手に話すことができても、患者様の話を聞き出すことができなければ重要な情報は得られません
 

薬剤師が薬の説明をひたすらしゃべり続けている状況を想像してみてください。
 

患者様は自分のことを話すタイミングを失い、ただ薬剤師の話を聞くだけになってしまいますよね。
 

説明することももちろん大事ですが、患者様からの情報を得ることがより大切ですので、相槌を打ったり感じよく接したりすることで患者様が話しやすい環境を作ることから始めてみてはどうでしょうか?

②患者様だけでなく同僚とも良いコミュニケーションを

 

先ほどご紹介したように、病気を抱えている多くの患者様は薬剤師の性格を見抜くことができます。
 

たとえば同僚に冷たい態度の薬剤師が患者様の前でだけ優しい態度をとったとしても、その優しさは演技だとすぐに感じ取る患者様が大勢いるということです。
 

「同僚とのコミュニケーションはあまり気にしていないけれど、患者様とはうまく話せる」と思っている薬剤師ももしかしたらいるかもしれませんが、それが思い込みである場合も少なくありません。
 

表面的に自分を作っても本当の意味で良い関係を保つことはできませんので、コミュニケーションスキルを高めたいと思ったらまず、同僚とのコミュニケーションをおろそかにしないことがポイントです。
 

誰に対しても常に感じよく接する努力が非常に重要で、努力をした結果人間的にも成長し、患者様とも同僚とも深い信頼関係を保てるようになれますよ。

③表情は豊かに

 

今の日本社会には喜怒哀楽を見せることをナンセンスと思う風潮があるせいか、どんな話をしてもいつも冷めていて、笑顔を全く見せないなど表情が乏しい人を最近よく見かけます。
 

医療で働くからにはこの態度を確実に改善して、基本的に笑顔でいることを心掛けてほしいです。
 

笑顔で接するといっても、重い病気を持っている患者様に笑いながら話すという意味ではありません
 

患者様を不安にさえない明るい笑顔が大切という意味で、表情を変えることによって患者様に「あなたの話を一生懸命聞いていますよ」という姿勢を見せるのがポイントです。
 

悲しい話題の時には悲しい表情をして一緒に悩み、病気が良くなった時には一緒に思いっきり喜んでくださいね。
 

一回一回の患者様のとのやり取りを表情を意識しながら重ねていくうちに、薬剤師としてのコミュニケーションスキルは信じられないくらいアップします。

④治ってほしいと心から願うこと

 

これは患者様とコミュニケーションを取る際に一番大事だといっても良い項目です。
 

自分が患者だったらと考えてみると、ただ薬の説明をしている薬剤師よりも、病気が早く治ってほしいと願ってくれる薬剤師に話を聞いてもらいたいと思う人がほとんどなのではないでしょうか?
 

患者様の中には、治療を受ける際に「私があなたの家族だったらどのような選択をしますか?」と聞く人もいますが、これはそれだけ自分の病気を親身に考えてほしいという表れだと思ってください。
 

もしかしたら、願うことは心の中の想いだから患者様に伝わることはないと考える人もいるかもしれません。
 

実際には不思議なほど伝わっていて、病気が早く治るように願いながら服薬指導するのと、何も考えず説明するのとでは患者様に与える印象が全く違うことはぜひ知ってもらいたいです。
 

薬剤師の真摯な気持ちは患者様に必ず伝わりますので、普段から患者様の本当に良くなることを願いつつコミュニケーションを図っていきたいですね。

⑤相手の痛みを感じることができるように

 

良いコミュニケーションを取るには患者様の立場に立って考えることが求められますが、そのためには患者様が感じている痛みや苦しみを自分で感じ取ることが不可欠です。
 

自分がどう接すればいいかだけを考えていても患者様の気持ちに寄り添うことはできませんので、想像力を磨くことが非常に重要と言っても過言ではありません。
 

例えば「痛い」と言っている患者様の痛みを感じ取ろうとすれば、どのように痛いのかや痛みの強さがどのくらいなのかなどを自然と質問できるようになりますし、
 

痛みを知ることで患者様の辛さを理解することにつながり、どんな言葉を言ったら傷つけてしまうのかも考えられるようになります。
 

この訓練を続けていくと、感じ取ろうとしなくても自然に感じ取れるようになりますので試してみると良いですよ。
 

⑥患者様の意見をまず受け入れてみよう

 

もし患者様が自分とは違うことを言ったり、間違った意見を主張したりしていても頭ごなしに否定しないで一度受け入れてみてください。
 

自分のことを一生懸命に話したのに「いや、それは違います」と第一声で言われてしまったら、病気を持っている患者様は自分が全否定された気持ちになってしまいかねません。
 

まず一度「そうですね」と受け入れてから、間違っていることを上手に直すことが薬剤師の腕の見せ所です。
 

正直、患者様を不愉快にせずに間違った意見を直すとことはかなりのスキルが必要になってきます。
 

一つの案として「そのように言う患者様がとても多いのですが、実は・・・」というような言葉を加え、患者様一人を否定しているわけではないことをアピールするのも有効なアプローチ法です。
 

「意見を否定されず受け入れてもらえた」という思いが、治療に向き合うきっかけを与えることもありますよ。

⑦患者様の目を見て話そう

 

これはコミュニケーションをするうえで基本中の基本です。
 

目を見て話すことで意思疎通が取りやすくなりますし、自分の話を聞いてくれているんだという安心感を持てるようになります。
 

コミュニケーションをとるときの最低限のマナーであるだけでなく、患者様を安心させられるほど大事と言っていいかもしれません。
 

ただ心を患った患者様など、目を見て話されることで圧迫感を感じる人がいることも事実です。
 

その場合には目に集中をせず、首から上全体を見ながら話をすると相手がストレスを感じずに話せますので意識してみてくださいね。

人間として成長することが良いコミュニケーションにつながる

 

今回は薬剤師のコミュニケーションについて詳しくみてきました。
 

薬の知識だけでなく、コミュニケーションスキルを高めることが薬剤師にはとても大切だということが分かったのではないでしょうか?
 

一番重要なのは上手に話すことではなく、患者様が話しやすいと感じる雰囲気を作るスキルです。
 

話すことが苦手でコミュニケーション能力がないと今まで諦めていた薬剤師もいると思いますが、患者様とのやり取りを通して人間的に成長することも薬剤師としてのスキルアップにつながりますのでぜひ自信を持ってください。
 

日々の接し方を見直してみるのはもちろん、様々なことを経験してより素敵な薬剤師に成長していくことを願っています。